IPOを目指す会社が関係する法規則等において、2021年に行われる改正等をまとめてみました。

今年は、何と言っても会計で大きな改正があります。

2月15日:会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71条・商業登記法20条削除)の施行

印鑑の提出義務を規定した商業登記法20条を削除することになります。

会社の設立登記における印鑑届出の任意化を開始することになります。

この改正に関する法務省のウェブサイトは、こちらになります。

3月1日:会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)等の施行

非常に重要な改正です。概要は、次のとおりです。

会社法の一部を改正する法律の概要
  • 株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し,株主に対し当該ウェブサイトのアドレス等を書面で通知する方法により,株主に対して株主総会資料を提供することができるようになる。
  • 株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数を制限することになる。
  • 上場会社等の取締役会は,取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定めなければならなくなる。
  • 上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には,金銭の払込み等を要しないことになる。
  • 役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償することを約する補償契約や,役員等のために締結される保険契約に関する規定を設ける。
  • 上場会社等に社外取締役を置くことが義務付けされる。
  • その他

この改正に関する法務省のウェブサイトは、こちらになっています。

会社法の改正については、こちらでも取り上げていますので、ご参考ください。

株主総会資料の電子提供制度【令和元年改正会社法①】

取締役等に関する規律の見直し【令和元年改正会社法②】

補償契約・保険契約【令和元年改正会社法③】

社外取締役の義務と要件【令和元年改正会社法④】

4月1日:収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)の適用開始

会計において、あまりにも大きな改正です。

ブログの中の人は、この改正の影響によって、数多くの会社がIPOの延期を余儀なくされたのではと考えています。

この改正については、こちらでまとめています。

ご参考ください。

「収益認識に関する会計基準の改正」をまとめました

4月1日:時価の算定に関する会計基準(企業会計基準第30号)の適用開始

国際的な会計基準に即した会計基準へ適応するための改正のひとつになっています。主に金融商品に関する時価の算定方法とレベル別開示を定める改正になっておりまして、特に棚卸資産が多い会社にとっては影響が大きな改正です。

企業会計基準委員会の発表および会計基準は、こちらです。

2021年春:コーポレート・ガバナンス・コード再改訂

東証は、2022年に市場再編を行います。

市場再編後、上場のための形式要件として、コーポレート・ガバナンス・コードの遵守状況が加わる予定になっています。

すなわち、IPOを目指す会社関係者の方々にとりましては、今春に改訂予定のコーポレート・ガバナンス・コードは要チェック項目になります。

コーポレートガバナンス・コードについては、簡単にこちらでまとめています。

【超重要!】コーポレート・ガバナンス・コード【IPO用語】

2021年春:「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」パブリックコメントへの意見に対する見解公表

昨年の12月25日に東証が「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」について公表し、この内容について2月26日まで意見の募集をしています。

そして、その意見に対する見解をその後に公表することで、新たな市場区分の骨格が固まることになります。

東証の市場再編については、こちらでまとめています。ご参考ください。

東証の市場再編が”ほぼ”決定!

2021年中:連結納税制度の見直しへの対応、リースに関する会計基準の開発、金融商品に関する会計基準の開発(企業会計基準委員会)

企業会計基準委員会は、主に2021年中に会計基準の見直し、または開発中の会計基準の制度化を続々進めていきます。

今年度も企業会計基準委員会からのニュースリリースは、重要です。

IPOを目指す会社は、継続的にウォッチすることが必要です。

2021年中:事業報告・株主総会参考書類に関する株懇モデルの改正、電子提供制度についての定款に関する株懇モデルの改正(全国株懇連合会)

株懇モデルとは、株式実務書類全般のモデルとして利用されておりまして、IPOを目指す会社にとっても関心を持つ必要があります。

株懇は、会社法の改正に即した形のモデルの作成に取り掛かるようです。

株懇については、こちらで説明しています。ご参考ください。

株式懇話会・株懇(かぶこん)

2021年中 「監査役会規則」や「内部統制システムに係る監査の実施基準」等の改訂(日本監査役協会)

日本監査役協会は、会社法や監査基準、コーポレートガバナンスコードの改正に合わせて、同協会は、同協会が公表している様々な監査基準等の改正を検討しています。

日本監査役協会が改正を公表しているのは、次のようなものになります。

日本監査役協会が2021年中に改正予定な基準等
  • 「会計監査人との連携に関する実務指針」
  • 「監査役会規則」(ひな型)、「監査委員会規則」(ひな型)、「監査等委員会規則」(ひな型)
  • 「監査役監査基準」、「監査委員会監査基準」、「監査等委員会監査等基準」
  • 「内部統制システムに係る監査の実施基準」、「内部統制システムに係る監査委員会監査の実施基準」、「内部統制システムに係る監査委員会監査の実施基準」

なお、日本監査役協会については、こちらで説明しています。ご参照ください。

日本監査役協会

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