
コロナショックは、IPOに対して大きな悪影響を及ぼしました。
努力に努力を重ねて、ようやくIPOの承認を受けたにもかかわらず、コロナショックによってIPOを中止・延期せざるを得なくなった会社が連発しました。
今後、長期に渡り、不景気が続くと予測されており、その予測が当たってしまえば、IPOの件数も長期間低迷することは間違いないでしょう。
またコロナショック前にIPOを達成した会社の株価は、発行価格割れが連発しています。そのような会社は、IPOで得た資金を攻めの投資に使うことが出来なくなり、またストックオプションで潤うと思った役職員の思惑が外れそうになっています。
しかし中には、コロナショックがほぼ無風という会社もあります。
アンビスホールディングスのIPO
2019年10月9日にジャスダックスタンダード市場へ上場した株式会社アンビスホールディングス(以下では「アンビス」といいます)は、慢性期・終末期の看護ケアに特化した会社です。
アンビスとTOPIXのチャートを下に示します。
TOPIXは、コロナショックの影響をモロに受けていますが、アンビスの株価は、ほとんど影響を受けていないことがわかります。
図 アンビスホールディングスの株価とTOPIX
アンビスの株価が堅調な理由は、以下のようです。
- IPO後の業績が引き続き絶好調である。
- IPO時には、無配当の予想であったが、配当を支払う事になった。
- コロナショックによる緊急事態宣言下でも、事業を継続して行うことができている。
- コロナショックの影響は、今後、不動産市場が冷え込むことが予想されているが、良質な土地や建物を借り上げして事業展開をしているアンビスにとっては追い風になる可能性がある。
- 関西や九州、中国、四国、北陸等、店舗の未開発地域が多いため、今後も引き続き店舗開発が期待できる。
リーマンショックは、金融不安から起きた不景気であったため、業種業態問わず、株価がメチャクチャだったため、IPO達成件数の落ち込みは酷いものでした。
しかしコロナショックは、大きく悪影響を受けた会社、無関係の会社、さらにコロナショックを成長のチャンスとして捉える会社の3つに分かれており、株価推移が明らかに分かれています。
またアンビスホールディングスは、上場申請翌期の業績も絶好調に終わり、利益が約2倍に伸びました。
今後、IPOに対して業種業態問わず委縮するのではなく、コロナショックと無関係もしくはチャンスとして捉えるような会社がIPOを牽引することを願っています。