IPOを目指すことになれば、過去に経験したことのないコストの支払を要することになります。

そこである会社関係者の方から、次のような質問がありました。

「監査法人から、監査報酬の見積提示がありました。監査契約は、当社にとって初経験であるため、その見積提示額が妥当な額かどうか判断出来ません。当社の企業規模や事業内容等を考慮して、妥当な監査報酬の参考額を教えてください」

監査法人と監査契約を締結する際、監査報酬の見積提示がありますが、この方と同様に見積金額の妥当性について戸惑う経営者は多いと思います。

経営者としては、世間一般的な金額と比べて、監査法人からの見積提示額が妥当なのかどうなのかという把握をしたいと思うのは当然だと思います。

IPOAtoZは、このような質問に対しまして、IPOを目指す会社関係者限定で”完全無料”でお答えさせていただいています。

「監査報酬が高すぎるのでは?」「妥当な監査報酬はいくらなの?」とお悩みのIPOを目指す会社関係者は、お気軽にお問い合わせください。

この会社経営者は、IPOAtoZからのデータ提供によって「監査法人から提示された監査報酬額は妥当だった」と安心した結果に至りました。

ここでは、IPOAtoZのサポート内容のイメージを紹介させていただきます。

監査報酬の決め方

監査報酬は、日本公認会計士協会「監査報酬算定のためのガイドライン」に従って、決定されるのが原則になっています。
そのガイドラインを要約すると、「被監査会社からの受託業務に関与した公認会計士および、その他の監査従事者の執務時間に、当該公認会計士等の請求報酬単価を乗ずることによって、適正に計算する」となっています。
つまり、工数計算で見積もられるという解釈になります。
工数計算とは、単位時間あたりの単価に労働時間を乗じて算出されます。
監査報酬の工数計算を行う上で、主に次のような項目がファクターになるようです。

売上が多い会社の方が監査報酬が高い

売上高が高い企業の方が、売上の計上基準の遵守状況、売掛債権に対する妥当性などを監査する工数が増加することが予想されます。

資産規模が多い会社の方が監査報酬が高い

資産規模が多い会社であればあるほど、固定資産の評価、実棚の運用状況監査、各種債権債務の存在確認などの監査工数が増加することが予想されます。

グループ会社数や事業所数が多い会社の方が監査報酬が高い

グループ会社が多ければ多いほど、連結財務諸表の作成をするにあたって、複雑になると想定され、確認を要する点も多くなるため、監査工数が増加することが予想されます。

またグループ会社や事業所が保有する固定資産等の実査のために監査工数が増すことが予想されます。さらに特にグループ会社または事業所が海外にある場合は、監査工数が増加することが予想されます。

業種によって監査報酬が違う

原価計算が複雑な業種、例えば建設、ソフトウェア、製品メーカーなどは、原価計算の監査に工数を要するものと考えられます。
卸売販売等、売上伝票の数が多い業種は、売上の監査に工数を要するものと思われます。
さらに今後は、売上の計上基準が「収益認識に関する会計基準」をモロに受ける業種と受けない業種では監査工数に差が出てくると予想されます。

会社規模と監査報酬の関係

会社規模が大きい会社の方が小さな会社より、監査報酬が高くなるということは、一般的に想定できると思います。

そこで、「会社規模を示す指標とは何か?」ということになりますが、ここでは「資産合計額」「売上額」を選択しました。

資産合計と監査報酬との関係

資産が多ければ多いほど、監査工数が増すことが想定されます。

そこで2019年以降にIPOを達成した会社の監査報酬(直前期)と資産合計額(直前期)の関係を図1にまとめてみました。

図1 資産合計と監査報酬の関係

そのデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y ①= 0.●x + ●.433(以下、「式1」といいます)】となりました。

この計算式のxの箇所に会社の資産合計額を入力すると、資産規模から比較検討する監査報酬の水準に関する参考値を得られると考えます。

売上額と監査報酬との関係

売上規模が高い会社であればあるほど、監査工数が増すことが想定されます。

そこで2019年以降にIPOを達成した会社の監査報酬(直前期)と売上額(直前期)の関係を図2にまとめてみました。

図2 売上高と監査報酬の関係

そのデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y② = 0.●x + ●.119(以下、「式2」といいます)】となりました。

この計算式のxの箇所に会社の売上高を入力すると、売上規模から比較検討する監査報酬の水準に関する参考値を得られると考えます。

連結子会社と監査報酬の関係

連結財務諸表を作成している会社、つまり子会社を保有している会社に対する監査報酬は、子会社を保有していない監査報酬と比較すると、監査報酬は多額になるのではないかと仮定しました。

また海外子会社を保有する会社の監査報酬は、さらに増すのではないかと仮定しました。

そこで、「海外子会社を保有する会社の監査報酬」「国内のみに子会社を保有する会社の監査報酬」「子会社を保有しない会社の監査報酬」について、それぞれを分けて、グラフ化してみました。

海外子会社を保有する会社の監査報酬

海外子会社を保有する会社に対する監査報酬は、高額になることが想定されます。

そこで2019年以降にIPOを達成した会社の内、海外子会社を保有する会社に限定し、監査報酬(直前期)と売上高(直前期)の関係を図3にまとめてみました。

図3 海外子会社を保有する会社の売上高と監査報酬の関係

そのデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y③ = 0.●x + ●.096(以下、「式3」といいます)】となりました。

この計算式のxの箇所に会社の売上額を入力すると、海外子会社を保有する会社が売上規模から比較検討する監査報酬は、世間相場でどの程度の水準になるのかの参考値を得ることができると考えられます。

国内のみに子会社を保有する会社の監査報酬

子会社を保有する会社に対する監査報酬は、海外子会社を保有する会社よりも監査報酬を抑えることができると想定されます。

そこで2019年以降にIPOを達成した会社の内、国内のみに子会社を保有する会社に限定し、監査報酬(直前期)と売上高(直前期)の関係を図4にまとめてみました。

図4 国内のみに子会社を保有する会社の売上高と監査報酬の関係

そのデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y④ = 0.●x + ●.86(以下、「式4」といいます)】となりました。

この計算式のxの箇所に会社の売上額を入力すると、国内のみに子会社を保有する会社が売上規模から比較検討する監査報酬は、世間相場でどの程度の水準になるのかの参考値を得ることができると考えられます。

子会社を保有しない会社の監査報酬

子会社を保有しない会社に対する監査報酬は、子会社を保有する会社よりも監査報酬を抑えることができると想定されます。

そこで2019年以降にIPOを達成した会社の内、子会社を保有しない会社に限定し、監査報酬(直前期)と売上高(直前期)の関係を図5にまとめてみました。

図5 子会社を保有しない会社の売上高と監査報酬の関係

そのデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y ⑤= 0.●x + ●.953(以下、「式5」といいます)】となりました。

この計算式のxの箇所に会社の売上額を入力すると、子会社を保有しない会社が売上規模から比較検討する監査報酬は、世間相場でどの程度の水準になるのかの参考値を得ることができると考えられます。

業種別監査報酬

適正な監査報酬の水準を認識する上で近い業種の報酬水準に限定して、適正な報酬水準を把握することも有効なアプローチと考えられます。

そこで図6には情報通信業、図7にはサービス業の監査報酬について、グラフを作成しました。

図6 情報通信業の売上高と監査報酬の関係

図6にあるデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y ⑥= 0.●x + ●.08(以下、「式6」といいます)】となりました。

図7 サービス業の売上高と監査報酬の関係

業種における監査報酬水準を把握することができるようになると考えます。

監査法人別の監査報酬(EY新日本監査法人)

IPOAtoZに対し、お問合せを受けた会社を監査する監査法人は、EY新日本監査法人でした。また子会社を保有していない情報通信業の会社でした。

そこで、2019年以降に「EY新日本監査法人」「子会社なし」「情報通信業」に情報を絞り込み、監査報酬との関係について、図8、図9、図10を作成しました。

図8 EY新日本監査法人の監査報酬(資産合計との関係)

図8にあるデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y ⑧= ●x + ●.67(以下、「式8」といいます)】となりました。

(実際には、お客様と話し合い、イレギュラーな値を外した図を作成しています。)

図9 EY新日本監査法人の監査報酬(売上との関係)

図8にあるデータに対し、一次関数のグラフを引き、そしてその一次関数の計算式は、【y ⑨= ●x + ●.112(以下、「式9」といいます)】となりました。

(実際には、お客様と話し合い、イレギュラーな値を外した図を作成しています。)

監査報酬の適正水準の参考値計算

上で紹介した式の内、次の式を参考に使いました(実際には、その他にも使いました)。

表1 監査報酬の適正水準を参考にした式

式5(子会社を保有しない会社の売上高と監査報酬の関係) y ⑤= 0.●x + ●.953(x:売上額)
式6(情報通信業の売上高と監査報酬の関係) y ⑥= 0.●x + ●.08(x:売上額)
式8(EY新日本監査法人の監査報酬(資産合計との関係)) y ⑧= ●x + ●.67(x:資産合計額)
式9(EY新日本監査法人の監査報酬(売上との関係)) y ⑨= ●x + ●.112(x:売上額)

表1の式に売上額や資産合計額を代入することによって、監査報酬水準の適正水準の参考値と定義しました。

つまり監査法人の見積提示額がy⑤やy⑥よりも低い場合、世間一般的な金額より安い。さらにy⑧やy⑨よりも低い場合、新日本監査法人が他に提示している監査報酬よりも安い。という定義づけを行いました。

そして、監査法人から受領した監査報酬の見積額と比較することにしました(実際には、「従業員数」をx軸にしたグラフ、また、お問合せを受けた会社の規模や内容を絞り込みをした図を作成しました。)

IPOAtoZのサポート

IPOAtoZは、Ⅰの部等の内容について、データベース化しております。

このデータベースは、非監査業務についてもまとめております。

そして、そのデータベースを活用して、IPOを目指す会社関係者の方々にとりまして、有益なデータに加工して提出するというサービスを無料で行っています。

監査報酬の適正水準に関するお問合せを受けた会社関係者の方から、色々な条件を具体的に出して頂き、その条件に絞り込んだグラフを作成し、そのグラフをベースにしながら、監査報酬水準の適正額について話し合い、安心感に繋げています。

ご興味がおありの方は、次のフォーマットでお気軽にお問合せ下さい。

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    なお、監査報酬に関する記事は、こちらにもありますので、ご参考ください。

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