金融庁と東証が事務局になっている「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」が3月9日に開催されました。

この会議は、かれこれ25回目になっておりまして、IPOを目指す会社にとっては、大変重要な会議です。

この会議での結論は、2022年4月以降の上場審査基準に影響を及ぼします。

なお、コーポレートガバナンス・コードとは何か?スチュワードシップ・コードとは何かということはこちらで解説しています。ご参考ください。

【超重要!】コーポレート・ガバナンス・コード【IPO用語】

スチュワードシップ・コード【IPO用語】

簡単に内容を紹介させていただきます。

コーポレートガバナンス・コードが変わります。

東証は、2022年4月に市場区分の見直しを行います。市場区分の見直しについては、こちらで解説をしています。ご参考ください。

「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」の解説

その見直しに合わせて、上場審査基準が変更になり、コーポレートガバナンス・コードの遵守状況が審査されることが決定されています。

金融庁や東証は、そのコーポレートガバナンス・コードを改訂しようとしています。

このフォローアップ会議は、コーポレートガバナンス・コードの改訂内容について、話し合っています。

したがいまして、このフォローアップ会議の内容は、IPOを目指す会社関係者にとって、重要な内容になります。

関係

3月のフォローアップ会議で話し合われた主な内容

監査役等監査と内部監査の連携

日本監査役協会が、監査役等監査と内部監査との連携がどのように行われているかの実例調査を実施し、その結果について検討しました。

内部監査部門は、社長の直轄部門として組織化されていることから、報告対象は、社長のみとなっている会社が多く、監査役等や取締役会も報告対象に加えていいる会社が44.9%にとどまるとの報告がありました。

⇒「監査役等監査と内部監査の連携についてどのように考えるか」ということが課題が出ています。したがいまして、コーポレートガバナンスコードの改訂については、監査役等監査と内部監査の連携を強化することが求められる公算が高いことが伺えます。

なお、現段階で監査役等監査と内部監査の連携について述べているコーポレートガバナンスコードは、次のとおりになっています。

コーポレートガバナンスコード補充原則4-13③

上場会社は、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきである。
また、上場会社は、例えば、社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など、社外取締役や社外監査役に必要な情報を適確に提供するための工夫を行うべきである。

内部統制・リスクマネジメント

会社が企業価値の向上を目指すには、リスクを回避するばかりではなく、一定のリスクをとる必要がある。内部統制やリスクマネジメントをガバナンス上の問題としてより意識して取り扱うことの重要性に関する話し合いがされました。

⇒「企業戦略等に照らした内部統制・リスクマネジメントの在り方についてどのように考えるか」が課題になっています。したがいまして、リスクへの評価を強化することが求められる公算が高いことが伺えます。

なお、現段階でリスクマネジメントについて述べているコーポレートガバナンスコードは、次のとおりになっています。

コーポレートガバナンスコード 補充原則2-3① 

取締役会は、サステナビリティー(持続可能性)を巡る課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識し、適確に対処するとともに、近時、こうした課題に対する要請・関心が大きく高まりつつあることを勘案し、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討すべきである。

コーポレートガバナンスコード 原則4-2

取締役会は、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、経営陣からの健全な企業家精神に基づく提案を歓迎しつつ、説明責任の確保に向けて、そうした提案について独立した客観的な立場において多角的かつ十分な検討を行うとともに、承認した提案が実行される際には、経営陣幹部の迅速・果断な意思決定を支援すべきである。
また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである

コーポレートガバナンスコード 原則4-3

取締役会は、独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を経営陣幹部の人事に適切に反映すべきである。
また、取締役会は、適時かつ正確な情報開示が行われるよう監督を行うとともに、内部統制やリスク管理体制を適切に整備すべきである。
更に、取締役会は、経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理すべきである。

コーポレートガバナンスコード 補充原則4-3④ 

コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の整備は、適切なリスクテイクの裏付けとなり得るものであるが、取締役会は、これらの体制の適切な構築や、その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置くべきであり、個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始すべきではない。

話し合われた金融庁のサイトは、こちらになります。

フォローアップ会議の今後

次回の会議で、コーポレートガバナンス・コードの改訂案が示される予定となりました。

IPOAtoZでも、追いかける予定です。