突然ではありますが、私を含め、上場を目指す会社関係者の方々は、今更ながらではありますが、改めてハラスメントについて、基本から学習すべき時期が来ていると考えています。

ブログの中の人がそのように考える理由は、2つあります。

ここでは、その理由と上場達成会社のハラスメント防止に向けた対策例を紹介させていただきます。

ハラスメントを改めて、今、学習すべき理由

上場を目指す会社関係者は、色々なコンプライアンス遵守が求められます。

IPO審査において、コンプライアンスに関する審査は、当然重要でありますが、以下の2つの理由から、特にパワハラに関する審査は、今まで以上に重要視されると考えます。

パワハラと粉飾決算は、無関係ではない

まず、粉飾決算により上場廃止したグレイステクノロジーが粉飾決算を行った最大の原因は、元会長によるパワハラであるためです。グレイステクノロジーの事件によって、パワハラは、退職率増加等の人事面の問題を引き起こすだけではなく、粉飾リスクに直結することが証明されました。

社内でパワハラが表面化された会社は、今後IPO達成にレッドカードを突き付けられる可能性を秘めています。

グレイステクノロジーの粉飾については、↓の記事をご参考下さい。

グレイステクノロジー粉飾事件によるIPO準備への影響

パワハラ防止法が施行される

企業がハラスメント防止に対する取り組みを規定した改正「労働施策総合推進法」と「男⼥雇用機会均等法」「育児・介護休業法」の3つの法律が、中小企業(正確に言えば、中小事業主)は2022年4月1日から義務化されました(ちなみに大企業は、既に義務化されています)。

IPO審査では、コンプラ体制の能力が審査されますが、その中で施行したばかりの法律、または施行寸前の法律の整備状況を確認することが常です。

1年以上前の記事ですが、どのような取組が必要なのかを↓で説明しておりますので、ご参考ください。

パワハラ・セクハラ・マタハラ防止法が施行

パワハラとは

ハラスメント、特に「パワハラ」や「セクハラ」は、一般用語になっておりまして、小学生でも知っているような用語です。

しかしそのような用語で注意すべきなのは、社員それぞれが「パワハラってこんな事でしょ?」と勝手な解釈をしてしまい、理解にバラつきが出てしまうことです。

そこで改めて、定義から学習してみましょう。

厚生労働省によりますと、↓の①~④の全ての要素を満たすことがパワハラであると定義されています。

  1. 「職場」で行われた言動等であること
  2. 優越的な関係を背景とした言動等であること
  3. 業務上必要かつ相当な範囲を超える言動等であること
  4. 労働者の就業環境が害されること

パワハラをはじめとするハラスメントの定義等について、最も丁寧に説明していると思われるサイトは、厚生労働省のサイト(こちらになります)がダントツだと思います。

動画やクイズ等、内容が盛りだくさんになっておりまして、非常に充実しています。

ハラスメント撲滅に向けた対策事例

上場達成した会社は、社内でハラスメント撲滅に向けて、各社で対策をしています。

ハラスメントについてⅠの部に書かれていた事例を↓でいくつか紹介させていただきます。

なお、研修や教育に関しては、数多く事例が存在しました。

ハラスメント発生は、経営リスクであると捉えている事例

エフビー介護サービス株式会社は、社内でハラスメントが発生すると、経営リスクに結びつくと考えています。

「ハラスメントについて」

当社グループでは、人材不足に対応するために幅広く採用を行っております。そのため、世代間の価値観の相違や従業員の多様化により、ハラスメント等のリスクに対する適切な対応が必要となります。ハラスメントに対する理解を深めるために、事業部会議や職員会議などで勉強会を行い、啓発ポスターを掲示して一人一人が認識できるように取り組んでおります。

また、ハラスメントに関する専門の相談窓口や通報できる体制を整えており、発生の防止と適切な対処に取り組んでおります。しかしながら、当社グループ内でのハラスメント等の行為が発生した場合は、従業員の離職や当社グループへの信頼性が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(出所:エフビー介護サービス株式会社Ⅰの部より)

監査役による重点監査対象にハラスメント防止が含まれている事例

株式会社マーキュリーリアルテックイノベーターは、監査役がハラスメント防止について関心を持ち、監査を実施しているようです。

監査役会では重点監査項目として、(中略)ハラスメント防止のための社内アンケートとハラスメント防止研修実施の提案を行っております。

(出所:株式会社マーキュリーリアルテックイノベーターⅠの部より)

ハラスメント防止規程を作成している事例

株式会社ハイブリッドテクノロジーズは、ハラスメント防止を規程にして対策しているようです。

外部専門家(弁護士、社労士)と契約、連携して、関係する法令等の内容を適切に把握するとともに必要に応じて専門家の意見を確認し、社内規程や業務フロー等に反映できる体制を整備しております。また、リスク管理規程、コンプライアンス規程、ハラスメント防止規程等の諸規程をはじめ、情報管理規程や個人情報管理規程を含む情報セキュリティ体制の運用維持のために、定期的にコンプライアンス勉強会なども開催しております。

(出所:株式会社ハイブリッドテクノロジーズⅠの部より)

行動規範にハラスメント防止がある事例

極東産機株式会社は、ハラスメント防止に関する内容が行動規範に入っているようです。

極東産機株式会社は、社是、社訓、経営理念及びこの行動規範に基づいて、企業活動を継続することにより、その社会的責任を果たしてまいります。

(中略)

2.不当な差別や、ハラスメント(嫌がらせ)の起こらない企業風土を作ります。

(出所:極東産機株式会社Ⅰの部より)

まとめ

上場準備企業関係者が、今、ハラスメント防止に関する取り組みを強化すべきであると考えた理由、また上場達成会社の対策事例を紹介させていただきました。

IPO審査では、間違いなくハラスメント防止に関する質問が来ると思われますので、想定Q&Aに盛り込んでおきましょう。

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