
経営者がIPOを目指す興味や決心をすると、普通、次に悩むのは「何からやればいいのか?」です。
IPO準備に関連する本を読むと『やらなければいけない事』はある程度、理解できるようになります。
しかし『何から始めるべきなのか』『どの順番でやればいいのか?』というのが、なかなか理解できないでいる方が多くいらっしゃいます。
ここではIPO準備の始め方とその順番をやさしくズバリ説明させていただきます。
IPO準備は、会計処理体制の構築から
IPOを達成するためのプロセスの最初のハードルは、監査法人のショートレビューです。
ショートレビューを安易に考える方が多くいらっしゃいますが、ショートレビューは、株式上場に向けた最初のハードルとして捉えるべきです。
「早めに監査法人に会って、早めにショートレビューを行えばよいのでは?」と考える方があると思います。
ブログの中の人は、反対です。
監査法人は、会計コンサルではなく、あくまでも評価者なのです。
「監査法人に金を払えば、会計をどうすればよいのか手取り足取り教えてくれる」という考えは誤りです。
監査法人から第一印象で「何も出来ていない」と評価を受けてしまうと、監査難民に陥るリスクが発生してしまうなど、かえって遠回りになります。
すなわち、まずショートレビューを受ける価値があるレベルまで、自社で内部管理体制をレベルアップさせましょう。
そこで、「ショートレビューを受ける前に何をしていなければいけないのか?」と考えるようになります。
IPO準備の始め方は、日本公認会計士協会がやさしく説明しています。
「会計監査を受ける前に整備しておきたいポイントはどんなものですか?」という質問に対する回答が、日本公認会計士協会「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」の9ページから存在します。
- 会計データ・裏付け証憑の整理
- 発生主義会計及び収益認識会計基準への対応
- 棚卸資産管理
- 原価計算体制
- 資産・負債の管理
- 連結決算
- 関連当事者取引の把握・整理
- 内部管理体制の構築
- 労務管理
- 情報システムの内部統制
- 不正への対応
- 会計上の見積り
- 会計基準の選択
IPO準備の順番は、こうなります
- 上の13個のポイントの1⇒2⇒3・・・⇒9⇒13というように、数字の順番どおりに準備を進めます。
- 「1.会計データ・裏付け証憑の整理」さえも不十分な状態で監査法人へショートレビューを依頼するのは、かえってコストや時間の無駄になります。
- それぞれのポイントの達成レベルですが、監査法人とアポイントをとる前までに、最低限、「1.会計データ・裏付け証憑の整理」「2.発生主義会計及び収益認識会計基準への対応」「3.棚卸資産管理」「5.資産・負債の管理」「7.関連当事者取引の把握・整理」「11.不正への対応」を自社内で完結させましょう。
- 監査法人とアポイントをとるまでに、「4.原価計算体制」については、少なくとも、工数管理の運用や、直接費・間接費の区分は明確化しておきましょう。間接費の配賦基準については、監査法人との間で丁々発止のやりとりが行われますので、現在の配賦基準の考え方について即答できるようにしましょう。