Ⅰの部の内容と異なることを言ってしまえば、審査がストップします。

社長面談は、引受審査と上場審査の最終段階に設けられます。つまり、社長面談とは、株式公開の実務担当者が深夜に至るまで審査対応作業に明け暮れ、なんとか社長へバトンタッチできた結果の末に与えられるプロセスになります。社長面談は、審査におけるクライマックスであり、社長は人生の中であまり経験できないレベルの緊張感を味わうことになります。

しかし、社長面談による審査中断が、たびたび存在するのは、事実です。そんな事が起きてしまうと、社長の求心力は大きく低下してしまいます。

ポイント社長面談で審査が中断にならないためには、基本的な準備が必要になります。

社長面談前に必要な準備
  • Ⅰの部をはじめ、上場申請時に提出する書類を一式読みましょう。

社長面談で絶対やっていけない事は、「Ⅰの部などの上場申請書類の内容と社長の考えや話しが相違している」ことです。そのようなことがあった場合、Ⅰの部の内容に疑義が発生してしまい、Ⅰの部や目論見書を投資家に開示できないと判断されます。

特にⅠの部や目論見書にある以下の項目を熟知しましょう。

1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」
2 「事業等のリスク」
3 「コーポレート・ガバナンスの状況」
4 「手取金の使途」

の4項目について、文章内容と社長の考えが少しでも異なる場合、審査が中断すると覚悟すべきです。

これらの文章を社長が一夜漬けで読むのではなく、文章を作成するところから、社長も参画することが一番重要です。

  • 引受審査」と「上場審査」にあったQ&Aを一式読みましょう。

社長面談における社長の発言が、社長面談に至るまでの審査回答と異なっている場合、審査が中断します。このようなことを防ぐためにも、審査における回答の作成は、社長も参画すべきです。社長面談以前にあった面談内容については、議事録を作成しましょう。

  • 社長面談におけるNGワードを公開引受部の担当者に相談しましょう。

「IPO直後に自社株式を売却し、経営から身を引くような話」や「創業者利益を重視する話」は、御法度です。以前は、「M&A」も御法度でした。面談のNGワードについては、公開引受部の担当者に相談しましょう。