受験で完全に失敗する人がいます。滑り止めとして考えていた学校さえも落ちてしまったという学生は少なくありません。
IPOでも同じ現象があります。
業績は悪くないし、内部管理体制はソコソコ人員が揃ってるし、という会社が上場審査や引受審査で落ちるケースです。

厳しい上場審査をクリアするために

IPO準備と高校野球のチームづくりを比べてみます。

レベルの高い選手をスカウトし、筋トレをバンバン行い、バッティング練習や素振り、ノックをガンガンすると、野球の実力は間違いなくアップします。しかし、それだけでは、間違いなく甲子園へは行けません。
⇒ 高い能力を持つ人材を入社させて、業績と内部管理体制を向上させると企業の能力は間違いなくアップします。しかし、それだけでは、間違いなくIPO出来ません

甲子園を目指す重要な大会の前、つまり”負けられない試合”をする前には実戦練習、つまり紅白戦や練習試合が絶対に重要になるはずです。
⇒ IPOにとって”負けられない試合”とは、ずばり”審査”です。審査に入る前には、審査の実戦練習が絶対に重要になるはずです。

審査に対応するための実戦練習とは、「審査における想定問答集の作成」と「面談リハーサルを行う」の2つです。

内部管理体制の構築と業績向上に疲弊し、審査における想定問答集の作成や面談リハーサルを怠ってしまったために、上場審査が不合格に終わったケースは少なくありません。

上場審査に挑むときのポイント

「想定問答集の作成」と「面談リハーサル」を絶対甘くみてはいけません。

重ねて申し上げますが、実戦練習を大事にしない野球部が甲子園に行けるわけありません。

「想定問答集の作成」と「面談リハーサル」に向けた準備ポイント
  • 上場申請直前期末から、主幹事証券会社の公開引受部担当者との間で、想定問答集の作成開始を強く強く強くおススメします。
  • Ⅰの部(本則市場上場の場合はⅡの部も)のドラフトを書く際、特に定性的な文言(「事業の特徴や強みに関する文言」や「リスク情報」「コーポレート・ガバナンス情報」など)の裏付けを整理しましょう。想定問答集を作成する際は、Ⅰの部とⅡの部の記載内容の裏付けに関するQ&Aを中心に作成しましょう。
  • マザーズ、もしくはジャスダックへ上場する場合は、Ⅱの部を作成する必要はありませんが、審査対応のためにⅡの部も作成する事をおススメします。
  • 想定問答集は、IPO準備責任者と担当者だけではなく、最低でも社長と常勤監査役と情報共有をしましょう。

上場審査の参考本

上場審査の想定問答集の参考本は販売されていません。

しかし株主総会想定問答集が上場審査の想定問答集に最も近いと考えます。

株主総会想定問答集(商事法務)