2019年12月16日に東証2部へベース株式会社が上場しました。ベース株式会社には、社名が類似する上場会社(株式会社BASE eBASE株式会社など)があります。

ここでは類似商号について取り上げます。

上場会社における類似商号

日本には極めて類似した社名の会社が上場しているケースがあります。

表 類似した社名の上場会社の例

佐藤食品工業 サトウ食品工業
アルファCo アルファグループ
セイコーホールディングス セイノーホールディングス
メディネット メディキット
JSS JSP
オークワ オークマ
ジャムコ ジャフコ

実は、類似商号のある会社のニュースなどで株価が影響する場合があります。

ソフトバンクがイギリスのARMという会社を買収すると発表があったとき、全く関係のない日本の上場会社であるARM(アドバンテッジリスクマネジメント)の株価が暴騰したのは有名です。

類似商号のリスク

社名が類似している会社の商標侵害をしていると、訴えられる可能性があります。

もし社名が商標侵害していても、社名を使用することはできますが、以下のような制限が発生してしまう可能性があります。

社名を商標登録していない場合の制限例
  • ホームページに大きく社名を記載できなくなる可能性がある(少なくとも画面トップに社名を入れることはリスクが高くなる)
  • パンフレットに大きく社名を記載できなくなる可能性がある
  • 商品パッケージに大きく社名を記載できなくなる可能性があるなど

ベース株式会社の場合は、本記事執筆段階において、「BASE」というロゴマークは商標登録されていますが、「ベース株式会社」での商標登録は特許庁から拒絶されています。

IPOとパテント・トロール

IPOの審査では、社名に関して議論になることはあまりないと思いますがIPOを目指す会社は気を付けるべきです。

それはIPOを達成した会社は、パテント・トロールから狙われるターゲットになりやすくなるためです。

パテント・トロールとは(特許庁「パテント・トロール対策等WG報告書」より)
  • 何をもってパテント・トロールとするかの明確な定義は定まっていない。
  • パテント・トロールとは「イノベーションを阻害する者」であるという前提のもと、⽂献等調査によりパテント・トロールの⾏為要素を抽出。
    1. 特許発明のための研究開発を実施しない
    2. 他者から特許権を取得する
    3. (a) 不適切なライセンス料を⽬的として権利⾏使を⾏う、⼜は、(b) 権利⾏使を乱発する
    4. 製造販売等の事業をしておらず、権利⾏使により得られるライセンス料等を主な収益源とする

つまり、パテント・トロールは、金を持っている会社をターゲットにして、特許を買い集め、保有する特許を盾に特許侵害訴訟を起こす者です。グーグルやアップル、トヨタ、任天堂等に対しても仕掛けています。

IPOにより公募増資を行った会社は、資金を潤沢に持っていることが世間に公になるため、パテント・トロールにとって恰好のターゲットになりやすくなります。

もちろん商標登録は、社名だけではなく、サービス名や商品名にも積極的に行い、リスク管理・知的財産権の保護が必要です。