ストックオプションのデメリット

IPOの準備段階で役職員に対し、ストックオプションを割り当てるのは定番です。

ストックオプション・新株予約権【IPO用語】

しかしストックオプションの導入を検討しはじめると、いろいろな懸念が出てきます。

ストックオプションのデメリット
  • 権利行使ができるようになれば、一気に権利行使をして、退職してしまう社員が出るのではないか?
  • 権利行使を一気に行って、その後、一気に株式を売却する社員が続出してしまうと、株価が下がってしまうのではないか?

折角、多大な努力をして、IPOを達成し、ストックオプションのキャピタルゲインで役職員の懐状況を暖めることができたにもかかわらず、それが仇となって終わってしまうと、経営者は「何のためのIPOだったのか・・・」とガックリしてしまいます。

フレアスのIPO

2019年3月28日に東証マザーズへ上場した株式会社フレアスが発行したストックオプションである第2回新株予約権の権利行使期間は、2020年8月1日から2027年12月31日までとなっています。このストックオプションには、以下のようなことが書かれています。

株式会社フレアス新株予約権②の行使の条件(株式会社フレアス目論見書より引用)
  1. 2018年7月24日から2020年7月31日までは、割り当てられた新株予約権の全てについて行使することができない。
  2. 2020年8月1日から2022年3月31日までは、割り当てられた新株予約権の2分の1について行使することができる(権利行使可能となる新株予約権の数に1未満の端数が生じた場合は、これを切り捨てる)。
  3. 2022年4月1日から2027年12月31日までは、割り当てられた新株予約権の全てについて行使することができる。

普通のストックオプションは、権利行使が可能になれば、全部権利行使ができてしまいますが、フレアスが発行したストックオプションは、権利行使が可能になっても、全部一気に権利行使出来ないように設定されています。

ストックオプションを短期で一気に権利行使させないように設計することで、社員の早期退職や株式売却というリスクを減らしています。

これはべスティングとも言われています。

ストックオプションの権利行使期間

フレアスと同じように権利行使期間に到達しても、一気に権利行使ができないストックオプションを発行している事例は多々あります。

次も事例を紹介します。

かっこ株式会社のストックオプション
  1. 上場日以降、割当てられた権利の3分の1について行使することができる。
  2. 上場日から1年が経過する日以降、割当てられた権利の3分の2について行使することができる。
  3. 上場日から2年が経過する日以降、割当てられた権利のすべてについて行使することができる。
  4. 上記各期間における行使可能な権利の累計数は、当該期間以前の期間に既に行使した部分を含むものとする。

株式会社フレアスとかっこ株式会社のストックオプションの違いは、次のようになります。

  • 株式会社フレアスのストックオプション:権利行使期間の最終日までにIPOを達成すれば、新株予約権のすべてを権利行使可能
  • かっこ株式会社のストックオプション:権利行使期間の最終日が残り2年を切る段階でIPOを達成した場合、一部の新株予約権を権利行使できない

ストックオプションは、これらのストックオプションのように、様々なカスタマイズが可能です。