税制適格ストックオプションの権利行使価格の要件

税法上、税制適格ストックオプションとして認められるためには、いくつかの要件があります。

その要件については、こちらで説明しております。ご参考ください。

税制適格ストックオプション【IPO用語】

いくつかの要件の中で、その一つである権利行使価格については、「契約を締結した時点での株価以上」となっています。

ギフティの目論見書

2019年9月20日に東証マザーズへ上場した株式会社ギフティの目論見書を確認しますと、ギフティが発行したストックオプションの中に権利行使価格が「株式公開時の公開価格」となっているストックオプションがあります。

通常、ストックオプションの権利行使価格は、100円や200円といった具体的な金額を設定します。

しかし、株式会社ギフティが発行したストックオプションの中には、具体的な権利行使価格を決議せず、算定方法を決議した新株予約権ということになります。

具体的な権利行使価格を設定しない税制適格ストックオプション

IPOを目前にせまった会社の中には、株式会社ギフティと同じような税制適格ストックオプションを発行した事例があります。しかし以下のような留意点があります。

権利行使価格を「株式公開時の公開価格」とするときの主な留意点
  1. 契約を締結した時点での株価算定をする必要があることには、変わりがない
    • 税制適格ストックオプションであることを認められるためには、「株式公開時の公開価格」≧「契約を締結した時点での株価」であることを説明できる必要があることには変わりありません。つまり、「契約を締結した時点での株価」を算定する必要があります。
  2. 「株式公開時の公開価格」では、付与の調書を提出できない
    • ストックオプションを発行した会社は、ストックオプションを発行した翌年1月末日までに所轄の税務署へ「特定新株予約権の付与に関する調書」を届けなければいけません。その中には、「1株あたりの権利行使価額」を記載する欄があります。「1株あたりの権利行使価額」の欄には、具体的な金額を記載する必要があります。
  3. 公開価格が契約を締結した時点での株価を下回ってしまうことを想定する必要がある
    • もし、「株式公開時の公開価格」≦「契約を締結した時点での株価」となってしまうと、ギフティのようなストックオプションの場合、税制適格ストックオプションとして認容されなくなってしまいます。したがいまして、税制非適格ストックオプションになり、権利行使時に課税義務が発生します。
    • さらに「株式公開時の公開価格」≦「契約を締結した時点での株価」となってしまうと、「株式公開時の公開価格」と「契約を締結した時点での株価」の差に対し、株式報酬費用が発生する可能性が高くなります。このようになった場合、最悪のケースでストックオプションを発行した時点に遡って、費用計上を求められる可能性が出てきます。

以上のような留意点があることから、ブログの中の人は、あまりおススメしません。