IPOを目指す会社が採用するインセンティブプランの代表格は、税制適格ストックオプションですが、付与する日に対象者と割当数を決める必要があり、決議をした後に、対象者を変えたり、割当をした数を増減させる自由がありません。

しかし別の方法があります。

gooddaysホールディングスのIPO

2019年3月25日に東証マザーズへ上場したgooddaysホールディングスの目論見書には、以下のような内容があります。

第4回新株予約権の詳細(出所:gooddaysホールディングス株式会社のⅠの部より)

当社の代表取締役社長である小倉博は、当社の現在及び将来の従業員に対する中長期的な企業価値向上へのインセンティブ付与を目的として、平成30年7月31日開催の取締役会決議に基づき、平成30年8月2日付で、佐藤孝幸を受託者として、「単独運用・特定金外信託(新株予約権活用型インセンティブプラン)」(以下「本信託(第4回新株予約権)」という。)を設定しており、当社は本信託(第4回新株予約権)に基づき、佐藤孝幸に対して、第4回新株予約権(平成30年7月31日臨時株主総会決議)を発行しております。本信託(第4回新株予約権)の内容は次のとおりです。

受益者適格要件

当社グループの「役員及び従業員並びに顧問契約・業務委託契約を締結している者」のうち、当社の社内規程等で定める一定の条件を満たす者を受益候補者とし、当社が指定し、本信託(第4回新株予約権)に係る信託契約の定めるところにより、受益者として確定したものを受益者とします。

なお、受益候補者に対する第4回新株予約権の配分は、信託ごとに①人事評価に基づくもの(職務ポイント)と②採用時の配分に基づくもの(Eventポイント)の2種類に分けられており、新株予約権交付ガイドラインで定められた配分ルール等に従い、評価委員会の決定を経て決定されます。

① 職務ポイント

受益者候補者のうち取締役及び従業員に新株予約権交付ガイドラインで規定された評価要件に基づき個別に付与されるポイント数の按分によって行う。

② Eventポイント

主として採用イベントに際して付与され新株予約権ガイドラインで規定された評価要件に基づき分配される。

特定金外信託とは

gooddayホールディングスが採用した特定金外信託とは、新株予約権を活用したインセンティブプランのひとつです。

特定金外信託とは、信託銀行の商品になります。

特定金外信託のメリット

未上場企業が採用するインセンティブプランは、税制適格ストックオプションがダントツで採用されていますが、税制適格ストックオプションはデメリットがあり、特定金外信託はそのデメリットを抑えるというメリットが存在します。

表 税制適格ストックオプションと特定金外信託の違い

税制適格ストックオプション 特定金外信託
割当対象者 発行日時点の役職員だけに割当可能 信託期間内に従事した役職員に割当可能
割当数 発行日時点で決定 信託期間内であれば修正可能
権利行使期間 税制上、制限が設けられている 法制度上、特に制限なし
権利行使価額の総額上限 税制上、制限が設けられている 法制度上、特に制限なし

通常、IPOを目指す会社は、IPOが近づけば近づくほど、会社の株価が上がってしまうため、IPO直前に入社した社員にとっては、権利行使価格が高いストックオプションしか割当ててもらえなくなるという懸念があります。

しかし特定金外信託の場合は、それを補うことが可能であり、IPO直前に入社した社員が権利行使価格が低い新株予約権をゲットできるチャンスが増加します。

これはIPO直前に高スペック人材の採用を目指す会社にとって、魅力が大きいインセンティブプランであると言えると思います。

特定金外信託のデメリット

なんと言っても、ストックオプションよりコストがかかることが最も大きなデメリットです。

信託を組成するコストや信託の運営コストは、ストックオプションとは大きく異なります。

ストックオプションは、100%自社で導入可能であり、権利行使が行われる直前までは、自社で管理可能です。

すなわちストックオプションの場合は、権利行使直前まで、社外へ支払うコストをゼロに抑えることが可能です。

しかし特定金外信託の場合は、信託の組成と運用にコストが必要になります。

特定金外信託を採用した事例

gooddaysホールディングス以外にも特定金外信託を採用した事例が見受けられます。

  • リックソフト株式会社
  • 株式会社ピアラ
  • CRGホールディングス株式会社
  • 株式会社PKSHA Technology
  • 株式会社マーキュリアインベストメント

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