億円単位の特別損失計上は、ざらにあります。
IPOを目指すにあたって金融商品取引法監査に準ずる会計監査が始まることになります。
会計監査を始めるにあたり、”棚卸資産を多く抱える会社”は、財務諸表に対するインパクトが大きくなりやすくなります。
2019/4/25に東証マザーズへ上場した株式会社グッドスピードは、中古車販売を主たる事業としています。
中古車販売業は、商品在庫を多く抱える典型的な業界のひとつであり、ちなみにグッドスピードがIPOを達成したときの商品在庫額は、約45億円になります。
グッドスピードの上場申請直前々々期(平成28年9月期)の業績は、経常利益133百万円である一方、当期純利益は▲209百万円となっているため、3億円を超える特別損失を計上していることがわかります。
グッドスピードが多額の特別損失を計上したほぼ全額は、「棚卸資産の評価損」であることは間違いないと考えます。中古車の在庫は通常、個別に評価されます。一定期間滞留した在庫は、収益性が低下したとみなして、バシバシっと簿価の切り下げが実行されます。
グッドスピードの場合は、特別損失が3億円を超え、自己資本比率が3.7%に落ち込んだため、当時の会社経営にとって、極めてインパクトが大きい棚卸資産の評価損でした。
IPOを目指す段階において、グッドスピードのような評価損を計上しなければいけなくなるような事例は多数存在します。というより、そのような損失を全く計上しなくて済んだ会社の方が圧倒的少数です。