パワーソリューションズの目論見書

2019年10月1日に東証マザーズへ上場した株式会社パワーソリューションズの目論見書には、以下のような記載があります。

事業等のリスク(株式会社パワーソリューションズの目論見書より引用)

当社は、野村グループに対する依存度が相対的に高く、2018年12月期における売上高に占める同グループ(航空券手配代行サービスのみを提供している企業を除く)に対する割合は、54.0%となっております。当該取引比率は、同グループが国内の資産運用金融機関として、また、関連システムにおいて相当程度のシェアを有していたため、当社は設立時から取引の拡大を図ってきた結果であると考えております。同社グループの各社とは独立して契約を締結しており、また、当社は、今後においても、取引顧客基盤の一層の拡大等に努める方針でありますが、同社グループの受注が大幅に減少した場合や受注条件が大幅に悪化した場合には、当社の業績や財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

社長は、元野村総研の出身者であり、野村グループの人脈を活かし、成長を成し遂げてきた会社のようです。

一般的な考えからすると、パワーソリューションズの経営者は、IPO準備を考え始めたとき、まず野村証券に交渉するのが通常だと思います。

しかし、野村グループの中核である野村証券は、主幹事証券会社ではないどころか、シンジケート団にさえ入っていません。

事業で良好な関係にある野村證券から、パワーソリューションズは振られてしまったという事が推察できます。

主幹事就任規制とは

野村證券には、数多くのグループ企業があり、その中の1社がIPOをするとします。その時、主幹事証券会社が野村證券になってしまえば、非常に疑わしくなります。

引受審査が甘くなってしまわないか、発行価格が世間の意向を無視した価格で設定されてしまわないか。。。

つまり野村證券にとって都合がよいIPOとなる疑念が生じてしまいます。

そこで日本証券業協会では、主幹事就任規制という規制を設けています。

それは「証券会社は、親法人等又は子法人等が発行する有価証券の引受けに係る主幹事会員に就任することができない」という規制です。

これは、公開価格等の決定等において、透明性・公平性を高めるために存在する規制であり、「有価証券の引受け等に関する規則 第9条」などで規制されています。

野村證券にとって、パワーソリューションズは、子法人等に位置づけられるとの解釈があったものと推察します。