Welbyの目論見書

2019年3月29日に東証マザーズへ上場した株式会社Welbyの目論見書の【株主の状況】を拝見しますと、1名の「非居住者とおぼしき方」へ税制適格ストックオプションを割当しています。

税制適格ストックオプションとはこちらで説明しています。ぜひご参考ください。

税制適格ストックオプション【IPO用語】

非居住者とは
  • 「居住者」以外の個人をいいます。
  • 「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。

グローバルに事業展開をしている会社経営者は、人種や住所等を問わず、社員に対して、ストックオプション等のインセンティブを与えたいと思うのは、ごくごく自然なことであると思います。

非居住者へのストックオプション

非居住者へストックオプションを割り当てる場合は、主に次のような論点が必要になります。

下でいう外国法人とは日本の会社、つまり発行会社のことです。

① ストックオプションを割り当てるとき
  • 外国法人の有価証券を保有することに対し、許認可や届出等を必要としないか
  • 新株予約権の付与段階で所得税等の納税義務が発生しないか
② ストックオプションの権利行使をするとき
  • 海外の個人銀行口座から、外国法人銀行口座へ出金する際のプロセスや送金規制などはないか
  • 外国法人の株式を保有することに対し、許認可や届出等を必要としないか
  • 権利行使時に納税義務が発生しないか
  • 証券の非居住者口座の開設プロセスや費用の確認
③ 株式売却をするとき
  • 株式売却の手続き
  • 譲渡益課税の支払プロセス
  • 株式売却をするにあたって、許認可や届出等を必要としないか

税制適格ストックオプションとは、あくまでも日本国内の税法で定められた優遇措置のあるストックオプションであり、日本以外の諸外国にとっては全く関係ありません。したがいまして非居住者は、居住者と同様な適用ができません。

なお、税に関しては、国税庁の回答文例がいくつかあります。ぜひご参考ください。

非居住者に対する税制適格ストックオプションの割当に関する国税の回答文例

非居住者口座に対する取扱いは、証券会社によって異なる

非居住者口座の手続きや考え方等は、証券会社によって異なります。

日本の証券会社の非居住者口座に関する対応は、次の3つに分かれます。

日本の証券会社の非居住者口座に関する対応
  1. そもそも非居住者口座を取り扱うことが出来ない証券会社
  2. 非居住者口座を開設する場合、口座開設費用または口座維持費用を請求する証券会社
  3. ストックオプションの権利行使をすると株式を即日売却しなければいけない証券会社

    非居住者へストックオプションを割り当てる場合の対応

    非居住者へストックオプションを付与した場合、以下のようなプロセスが追加されることに留意しましょう。

    ①住所が外国なのか、日本国内なのかを判定することで非居住者かどうかを判断する(以下は住所が外国であると推定する場合)
    • その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有する
    • その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと
    ②非居住者口座を開設する
    • 非居住者口座の開設プロセスを証券会社に確認する
    • 証券会社によって、口座開設プロセスや手数料体系が異なることに留意が必要である(中には、非居住者口座の開設に対応できない証券会社が存在する)
    ③現地の専門家に相談する
    • 現地の税理士や弁護士等への相談する