東京ディズニーランドは、東京のディズニーランドではありません。

「ミスター女子プロレス」神取忍さんは、男性ではありません。

「10年に1人の逸材」は毎年のようにプロ野球ドラフトで持ち上げられ、「10年に一度の台風」は毎年のように来ます。

IPOに関する用語の中にも、パッと聞いただけでは、一般的な解釈と異なる定義や意味を持つ用語がいくつも存在します。

例えば、「取引」です。

取引とは「財またはサービスを対象として商人間、もしくは商人と消費者の間で行われる売買行為をいう。(日本大百科全書(ニッポニカ))」になっています。

会社が銀行から借入する際、社長が個人保証をするケースがありますが、この個人保証に対しては、社長と会社の間で売買行為等が一切行われていません。

しかし、IPOの世界では、社長と会社の間で、関連当事者取引として取引が行われたというような解釈がされてしまいます。

また、このブログ記事をお読みの全ての方は、「子会社」という言葉を聞いた事があると思います。

「子会社」なので、普通「子供に該当する会社」としてイメージしてしまいます。

つまり一般的な読み方からすれば「子会社とは、会社である」と想像してしまいます。

しかし法規則で「会社」だけが該当することになるとは限りません。

実は、上場準備会社の中には「エ~~~ッ???ここが子会社に該当しちゃうの?」という事が直前期や申請期に判明することが時々あります。

もし、上場準備中にそんな場面に遭遇してしまえば、一大事でありまして、上場目標時期の延期に繋がる決定打になってしまいます

ここでは、子会社について書かせていただきます。ただし内容を保証するものではありません。

もし、私の解釈が間違っているのであれば、何卒ご指摘下さいますようお願いします。

子会社の定義

子会社とは何かと説明する前に、会社とは何かという事を明確にします。

会社とは会社法第2条第1号で「株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう」と定められています。

つまり、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社以外は、会社ではないという事になります。

それをご理解いただいた上で、子会社の定義について説明させていただきます。

会社法における子会社の定義

一方、会社法では、子会社の定義が↓のようになっています。

会社法第2条第3号

会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

会社法では子会社が法人であることを要件としています。

つまり、法人であれば経営を支配されていた場合、子会社になりうる、または経営を支配されていても、法人でなければ子会社にはならないという解釈になります。

(この「支配」って、何か?というのは、別のブログ記事で説明します。実はあるのですが、改訂中です)

会計上の子会社の定義

子会社の定義については、会社法と会計の世界では、若干異なった定義になっています。

上場準備担当者にとりまして、子会社の定義については、会社法における子会社の定義ではなく、会計における定義の方が重要になります。

Ⅰの部における開示、また連結決算、さらに上場審査等に関するガイドラインにおいて、この定義が採用されているためです。

会計における子会社の定義は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第8条第3項において定められています。

↓にその定義について紹介させていただきます。

財務諸表等規則第8条第3項

この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。

親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。
この中には、曲者の用語があります。「会社等」です。
会社法の条文は「法人」なので、明らかに違いますね。
そこで「会社等」の定義について調べてみますと、財務諸表等規則第1条第3項5号にありました。
会社等(財務諸表等規則第1条第3項5号)

会社、指定法人、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)をいう。

会社法では、子会社は法人である必要がありますが、会計での子会社の解釈では、法人であろうがなかろうが、支配している組合や事業体が存在すれば、その組合や事業体は、子会社になってしまうという解釈になります。

原則「組合」は、法人ではありません。

また自治会やPTA、マンションの管理組合等の「人格のない社団」も法人格をもちません。もしPTAが何らかの事業を始めると法人格を持たない事業体になり得るという解釈になります。

つまり、会社法の解釈では子会社が存在しないにも関わらず、会計上では子会社が存在するという事がありえるという事になります。

株式会社以外の子会社を持つ上場達成企業の事例

子会社を保有する上場会社は数多く存在しますが、ほとんどが株式会社です。

しかし中には、株式会社以外の子会社に持つ会社が上場を達成した事例が存在します。

合同会社を子会社にもつ上場達成企業事例

これは比較的、事例が存在します。

特に合同会社を子会社に持つ会社は、特に太陽光発電や風力発電など、クリーンエネルギー関係の会社が子会社として合同会社を設立して現地法人を作っているケースが散見されます。

2019年以降にIPOした会社を調べてみますと、再生可能エネルギー事業を展開しているテスホールディングス株式会社やリニューアブル・ジャパン株式会社には、子会社として合同会社を保有しています。

なお、合名会社と合資会社を子会社として持つ上場達成会社事例を確認できませんでした。

会社以外の子会社にもつ上場達成企業事例

子会社として会社以外の子会社、つまり株式会社、合同会社、合名会社、合資会社以外の子会社を持つ会社がIPOした事例があるのかどうかを調べてみました。

その結果、2018年1月のIPO以降、このブログを書くまでの間のIPOでたった1例だけ存在しました。

↓で説明しております。

またこの事例には、「会社ではない子会社を持つ上場達成会社事例」だけではなく、「会社ではない子会社があると指摘を受け、子会社から外したと思しき上場達成会社事例」も紹介させていただいております。

会社ではない子会社を持つ上場達成会社事例【IPO事例-40】

[IPO事例-40]につきましては、IPO AtoZへ有償でのお問い合わせがありまして、存在するかどうかわからない中で時間をかけて探し当てた事例でございます。

そのような経緯がありまして、PWにつきましては、有料(5万円+消費税)でお答えさせていただくことになります。

↓のフォーマットでお問合せください。

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    まとめ

    子会社になりうる属性について、解説させていただいたとともに、会社以外の子会社を持つ上場達成企業の事例を紹介させていただきました。

    なお、子会社だけではなく、親会社も同様な解釈がされますので、注意が必要です。
    またIPOとは直接関係ございませんが、よく似た話として、一般財団法人は連結子法人になることができないという見解が国税庁にあります。
    こちらになります。
    つまり、一般財団法人は、連結子会社になることが出来るが、連結子法人になることが出来ないという解釈になりそうです。

    子会社の定義につきまして、支配に関する説明をした本や記事は、山のように存在しますが、この記事のように属性について説明した記事が見当たらないため、この記事は一切、他の専門家等が作成した資料等を参考にせずに法的解釈して、記事にしております。

    ブログの読者の方の中で、私の見解や考え等が間違っているとご指摘いただければ、幸甚です。

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