関連当事者その他の特定の者との間での取引行為
東証は、上場審査においてどのような基準で上場審査を進めていく必要があるのかというガイドライン「上場審査等に関するガイドライン」があります。そのガイドラインには次のような一文があります。
新規上場申請者の企業グループが、次のa及びbに掲げる事項その他の事項から、その関連当事者その他の特定の者との間で、取引行為(間接的な取引行為及び無償の役務の提供及び享受を含む。以下同じ。)その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないと認められること。
a 新規上場申請者の企業グループとその関連当事者(財務諸表等規則第8条第17項に掲げる関連当事者をいう。以下同じ。)その他の特定の者との間に取引が発生している場合において、当該取引が取引を継続する合理性及び取引価格を含めた取引条件の妥当性を有すること。
b 新規上場申請者の企業グループの関連当事者その他の特定の者が自己の利益を優先することにより、新規上場申請者の企業グループの利益が不当に損なわれる状況にないこと。
b 新規上場申請者の企業グループの関連当事者その他の特定の者が自己の利益を優先することにより、新規上場申請者の企業グループの利益が不当に損なわれる状況にないこと。
「関連当事者その他の特定の者」の定義については、次で説明しています。ぜひご参考ください。
また取引や取引行為の定義については、こちらで説明しています。
関連当事者取引を整理しなければいけない理由は、会社の利益が流れたり、関連当事者を利用して会社の利益が操作されたりするおそれがあるためです。
関連当事者取引の解消例
直前々期には、関係者との取引の棚卸を行い、各取引の内容と取引条件、取引理由、代替可能性について検討したうえで、取引の継続または停止の選別を進めていく必要があります。
関連当事者との取引が以下のような状況になっていると、以下のような対応が求められます。
表 関連当事者との取引の内容例と求められる対応
項目 | 関係者との取引例 | 求められる対応例 |
---|---|---|
不動産 | 本社や事業所等、重要な事業用不動産を賃貸借している | 不動産を買い取る、もしくは引っ越しする(経済的合理性や移転する物件が無い等の理由があれば、認められるケースあり)。 |
不動産 | 役員へ社宅を貸している | 原則解消(会社都合で地方へ赴任した場合等、認められるケースあり)。 |
債務保証 | 銀行からの借り入れを関係者が債務保証をしている | 上場承認を受ければ、債務保証解消されることを約する。 |
債務保証 | 関係者の借り入れを申請会社が債務保証をしている | 速やかに解消する。 |
営業上取引 | 仕入や販売、外注などの取引がある | 取引の合理性、取引条件の妥当性、事業上の必然性が認められない場合は解消する。 |
関連当事者取引の具体例
IPO AtoZでは、関連当事者との取引に関する参考事例の情報を掲載しています。
ぜひご一読ください。
関連当事者取引の分析
IPOAtoZは、IPOを達成した会社の有価証券届出書から非財務情報に関するデータを蓄積しています。
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