IPO審査において、兼任数が多い社外役員の存在は、ネガティブ材料になります。

コーポレート・ガバナンス・コードやコーポレートガバナンス白書においては、社外役員の兼任に関して、以下のような記載がされています。

コーポレート・ガバナンス・コード補充原則4-11②

社外取締役・社外監査役をはじめ、取締役・監査役は、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を取締役・監査役の業務に振り向けるべきである。こうした観点から、例えば、取締役・監査役が他の上場会社の 役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきである。

コーポレート・ガバナンス白書2019

兼任状況についての記載において「合理的(合理的範囲等)」に言及している会社は 24.4%(640社)であった。兼任数の上限や目安について、具体的な数値を開示している会社 は2.8%(73社)あり、その内訳は「3社(当該企業を含む)」とした会社が12社、「4社」が43社、「5社」が15社、「6社」が5社であった。また、兼任については、他社から役員就任の要請があった時点で取締役会に通知を行う旨や、事前に取締役会での承認を必要とする旨を記載してい る会社もみられた。「出席率75%以上を確保する」ことを明示している会社もあった。

東京証券取引所(出所:2019年新規上場ガイドブックより)

申請会社の役員が他の会社等の役職員等と兼職関係にある場合については、まず、取締役会への出席状況などから、当該役員がその求められる監督機能を十分発揮しているかどうかを確認するとともに、常勤役員については、その業務の執行の機動性が損なわれていないかどうかを確認します。 当該兼職先と申請会社が取引関係を有するような場合にあっては、その取引に対する適切な牽制を働かせることのできるガバナンス体制が構築できているか、取引条件の決定の手続きの状況などを踏まえ、申請会社が不利益を被るような決定となっていないか等を審査において確認し、適切な体制、運用が確認できれば、当該兼任について、認められるものと判断することもあります。

端的に言えば、他社の役職員と兼務している役員が存在する場合、その役員の仕事ぶりに対して慎重に審査が行われることになるということです。

9社の役員を兼任している社外役員が、IPO直後に4社の役員を退任した事例があります。

東証または主幹事証券会社から、「兼任は5社までにしてくれ」と要請された可能性があります。

「どこの会社?」「誰?」についての詳しくは↓の記事で紹介しています。

https://ipo-atoz.com/ipo-outside-officer-background/

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