2021年6月19日の日経新聞に「社外役員、親会社出身選任に厳しい目」という記事がありました。

こちらになります。

この度、2019年以降のIPO達成企業において、この記事に関する調査を行いましたので、報告させていただきます。

「社外役員、親会社出身選任に厳しい目(日本経済新聞)」の要約

2021年6月19日の日経新聞にあった「社外役員、親会社出身選任に厳しい目」の記事をざっくり要約すると、「親会社等との個人的関係が強いと思しき社外役員の選任議案に対しては、反対票が多かったよ」という内容です。

この記事にあった内容をベースにして、ブログの中の人が多少ブラッシュアップさせて説明させていただくと表1のようになります。

表1 5月総会で賛成率が低かった議案

鈴木順一氏 三津井洋氏 堀内真人氏 山口拓哉氏
会社 イオンフィナンシャルサービス イオンディライト ベルシステム24ホールディングス ベルシステム24ホールディングス
賛成票(A) 65.18% 78.29% 78.19% 78.19%
賛成票を入れる事が明らかな大株主(B)※ 49.31% 53.9% 55.1% 55.1%
(B)以外の株主の内、反対票を投じた割合※※ 68.6% 47.0% 48.5% 48.5%

※ 大株主の中で、親会社等、関係会社等、持株会、兄弟会社などが開示されていた場合の合算値(したがいまして実質的には、さらに高い可能性があります)

表1で取り上げた4氏は、各会社の関係会社との結びつきが強いと思しき方たちばかりです。

特にイオンフィナンシャルサービスの鈴木順一氏の社外監査役選任議案に対しては、2/3以上の少数株主から反対票を投じられたということになりました。

鈴木順一氏とは、イオンフィナンシャルサービスの親会社等であるイオン株式会社、またはイオン株式会社グループ一筋40年超も勤務されていらっしゃる方であり、イオングループであるイオン銀行やAFSコーポレーションの監査役を兼務しています。

このような経歴にある人が社外監査役になろうとする場合、少数株主保護の観点から反対票を投じられやすくなります。

なお、社外取締役や社外監査役、つまり社外役員について↓で説明しております。ぜひご参考下さい。

社外取締役・社外監査役【IPO用語】

社外役員と独立役員の違い

社外役員に対しては、当該企業やその親会社、子会社、経営陣等との間に一定の利害関係を有しない社外者として立場から、経営(経営陣による業務執行)の監督を行う役割が期待されています。

しかし、そのような社外取締役や社外監査役に期待される役割に対し、会社法で定められた社外取締役や社外監査役の定義には、”ズレ”があります。

例えば、親会社の役職員は社外役員の資格がありませんが、兄弟会社の役職員である人、または親会社を退職したばかりの人は社外役員としての資格があります。

つまり、会社役員を退任するにあたり、名誉職的な形で子会社の社外役員として送り込むという形が有効になるということです。

このような形で送りこまれた社外役員は、親会社から独立しているとは思えませんよね。

したがいまして、会社法上の社外取締役や社外監査役の定義には、”モレ”があったことになります。

そこで、そのモレを防ぐため、東証は会社法よりも厳格な「独立役員」という役職を定義化し、上場申請会社に対して、独立役員の設置を義務付けしています。

独立役員とは、何かということは↓で説明しています。ご参考下さい。

独立役員【IPO用語】

さらに、6月11日に改訂されたコーポレートガバナンスコード(説明はこちら)では、支配株主がいる上場会社に対して、次のような項目を追加しました。

これは上場申請会社にも関係する内容になります。

コーポレートガバナンスコード補充原則4-8③

支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。

社外役員であるが、独立役員ではない役員が選任されているIPO事例

IPOAtoZによる調査によると、2019年1月以降にこのブログ作成までに子会社上場した会社は、17社でした。

そこで、その17社の社外取締役と社外監査役の中で「親会社等の元役職員」または「兄弟会社の役職員と兼務」の社外取締役または社外監査役がいないか、つまり会社法上での社外取締役または社外監査役でありなから、独立役員ではない取締役または監査役がいないかどうかを調査してみました。

17社中、3社、3名の存在を確認しました。

したがいまして、一般世間的には日経新聞にある通り「社外役員、親会社出身選任に厳しい目」があるのは間違いないと思われますが、現段階の上場審査においては、支配株主からの独立性に疑義がある社外役員が存在していたとしても、退任要請をうけるまでに影響を及ぼしていないようです。

どの会社の誰かにご興味がおありの方は、「IPO事例-31 を教えて!」と一言添えて、次のフォーマットからご要望下さい。

会社名と該当役員名、その経歴をお知らせいたします。

    支配株主からの独立性に疑義がある社外役員の事例【IPO事例-31】

    ただし、親会社から役員を招聘する場合、その人数を加味した上で、独立社外役員の招聘を多くする必要性が出てきます。

    IPOAtoZのサポート

    IPOAtoZでは、Ⅰの部作成、さらにコーポレートガバナンスに関する無料サポートを実施しています。

    手前味噌的な表現で恐縮ですが、「ここまで無料で行っているところなんて、世の中にないと思いますよ」

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