親引けとは

従業員持株会を導入するときの目的のひとつとして、親引けがあります。

従業員持株会については、こちらで解説しています。

【上場準備担当者向け】「従業員持株会」をくわしく解説

親引けについては、こちらで説明しています。ご参考ください。

親引け【IPO用語】

IPOの公募株式は、IPOディスカウントによって割安(注:全てのIPOではありません)になるため、人気が高くなりがちです。

親引けは、持株会が公募株式を購入できるチャンスであり、持株会会員にとって”最大の美味しい機会”になります。

また親引けを行うと公募株式に対する希少性が高まるため、人気が増すことが期待できます。

2019年に東証へIPOを果たした会社の親引けについて簡単な分析をしてみました。

親引けの分析

親引けを行っている会社は、どのくらいの割合なのか

2019年に東証へIPOを果たした会社(82社)の内、35社が親引けを行いました。(IPO AtoZ調べ)

親引けは、どの程度を行っているのか

上場承認時には、募集株式総数(新規発行株数+売出株数)と比較して、平均3.99%(最小0.27%~最大10.0%)になっています。実際には、平均2.96%(最小0.20%~最大10.0%)あります。(IPO AtoZ調べ)

なお従業員持株会へ親引けを行うことができる株数の上限は、10%に定められています。

親引けをすると、募集株式に対し希少性が生じ、IPO直後の株価形成に良好な影響をもたらすか

親引けを行った会社の初値は、想定発行価格に対して29勝5敗1分であり、発行価格に対しては31勝3敗1分でした。

一方、親引けを行っていない会社の初値は、想定発行価格に対しても発行価格に対しても42勝5敗でした。(IPO AtoZ調べ)

これだけの結果を見ると、親引けが株式の希少性を高め、株価を向上させた効果があったとは言えないようです。

なお、親引けを行った会社の内、発行価格に対して初値が下回った3社(KHC、chatwork、BASE)の共通点は、募集株式総数に比べて、親引けした株数の割合が1%未満であるということでした。(言い換えれば、「2019年におけるIPOでは、親引けの割合を1%以上を行った会社は、負けがゼロだった」ということになります。)