チャイニーズウォール規制とは、インサイダー取引の防止策として、部門間で情報の壁をつくることをいいます。

チャイニーズウォール規制とは

証券会社には、大きく分けて2つの部門があります。

それは株式や債券等の発行を提案したりアドバイスをする「プライマリー部門」と、既に発行された株式や債券等の売買を提案したりアドバイスする「セカンダリー部門」です。

プライマリー部門の業務はインサイダーの塊である一方、セカンダリー部門の業務にインサイダーを持ち込んではいけません。

もし、セカンダリー部門で働いている人がインサイダー情報を知りつつ、その情報にもとに営業や提案を行うと刑事罰の対象になってしまいます。

チャイニーズウォール規制は、プライマリー部門が保有する情報をセカンダリー部門へ流出しないようにするための規制です(なお、この規制は、セカンダリー部門の情報をプライマリー部門へ送ることを想定していません)。

証券会社ではプライマリー部門とセカンダリー部門との間に、情報の壁をつくるべく、オフィスレイアウトに配慮したり、電話・メール等の内容チェック等の対策をしています。

チャイニーズウォール規制とIPO

IPOを目指す会社には、次のような証券会社の社員が入り、サービスを行おうとします。

IPO支援内容と支援スタッフ例
プライマリー
  • 会社のIPOを提案する営業マン
  • 増資やストックオプション等、資本政策を提案する営業マンやアドバイザー
  • 公開引受部門、審査部門の担当者や責任者など
セカンダリー
  • 会社や従業員持株会の法人口座の担当者
  • 社長や従業員の個人口座担当者
  • 財務部門等に会社の資産運用を提案するアドバイザー
  • IRを提案する営業マンやアドバイザーなど

チャイニーズウォール規制への協力は、特に株主の中に上場会社が存在する非上場会社にも求められます。

基本的に、同じ証券会社の社員でも、プライマリーの役割にいる社員がセカンダリ―の役割の人へ業務の進捗状況について情報共有を行っていません。

セカンダリー部門の営業マンに対して、例えば「うちの会社は、上場審査中です」というような発言は控えるようにしましょう。

ファイアウォール規制

よく似た用語に「ファイアウォール規制」があります。

ファイアウォール規制とは、金融機関同士での情報について障壁を設けるという規制です。

こちらでまとめていますので、ご参考ください。

ファイアウォール規制