IPOを目指すとなると、「〇〇会社」というよく似た言葉が出てきます。
ここでは「大会社」について説明させていただきます。
大会社の定義
大会社の定義は、2つ存在します。それは、会社法の定義と相続税法での定義の2つです。
会社法における大企業の定義
会社法第2条6号に定義されています。大会社とは、以下の要件のいずれかに該当する株式会社をいいます。
- 最終事業年度に係る貸借対照表(※)に資本金として計上した額が5億円以上であること
- 最終事業年度に係る貸借対照表(※)の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること
※ 会計監査人設置会社の特則規定(会社法439条前段)に該当する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においてはその成立の日における貸借対照表(会社法435条1項)をいいます。
IPO準備における大会社は、会社法上の大会社を使うことが一般的です。
相続税法における大会社の定義
相続などで財産の算定において、非上場会社の株価を算定する際に利用する定義です。
IPO準備会社が使う場合は、多々ありますが、IPOを目的として、この定義を直接利用するケースはありません。
- 従業員数70名以上の会社
- 従業員数36名~69名の会社
- 卸売業:総資産価額20億円以上かつ、取引金額30億円以上
- 小売・サービス業:総資産価額15億円以上かつ、取引金額20億円以上
- 卸売業・小売業・サービス業以外:総資産価額15億円以上かつ、取引金額15億円以上
大会社の義務
会社法における大会社になると、以下のような義務が発生します。
これは非上場会社でも同様です。
- 会計監査人の設置義務(会社法328条)
- 内部統制システムの整備に係る決定(会社法362条4項6号、5項)
- BSだけではなく、PLも公告(有価証券報告書提出義務会社除く)(会社法440条1項)
赤字の箇所の対応を漏らしている大会社は、よくあるケースです。
内部統制システムについては、次で説明しています。ご参考ください。
※ あくまで会社法における大会社のみに義務が発生します。相続税法上での大会社に対する義務はありません。
大会社・中会社・小会社
中会社と小会社という会社の分類は、会社法ではなく、相続税法の中にあります。
その分類や考え方につきましては、国税庁のタックスアンサー[No.4638 取引相場のない株式の評価]になります。
大会社・公開会社・上場会社
IPOを目指すとなると、「〇〇会社」という用語が出てきます。
大会社とは会社規模を切り口にしており、公開会社と上場会社は会社株式を切り口とした分類になっています。
公開会社につきましては、こちらで説明しています。ご参考ください。