臨時報告書とは
臨時報告書とは、金融商品取引法の第24条の5第4項に定められています。
有価証券報告書を提出しなければならない会社は、その会社が発行者である有価証券の募集又は売出しが外国において行われるとき、その他公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める場合に該当することとなつたときは、内閣府令で定めるところにより、その内容を記載した報告書(以下「臨時報告書」という。)を、遅滞なく、内閣総理大臣に提出しなければならない。
つまり上場会社は、内閣府令で定められた一定条件になるような有価証券の募集やイベントがあった場合、臨時報告書という報告書を内閣総理大臣に提出するということになります。
これは決して、総理大臣を探し出して、手渡しするという話ではなく、EDINETを通じて所轄の財務局に提出するということになります。
臨時報告書はEDINETで確認ができます。
EDINETについては、こちらで説明しています。ご参照ください。
臨時報告書に関する内閣府令
上で記載している金商法の条文にある「内閣府令で定める場合に該当することとなつたとき」とは何?という情報が重要になりますが、その内閣府令とは「企業内容等の開示に関する内閣府令の第19条第2項」になります。
企業内容等の開示に関する内閣府令については、こちらで説明しています。
企業内容等の開示に関する内閣府令の第19条第2項にある主な条文は次のようになります。
- 募集によらないで発行価額の総額が一億円以上である株式の発行を決議したとき
- ストックオプションの発行価額の総額が一億円以上になる決議をしたとき
- 親会社が異動したとき
- 特定子会社の異動があつたとき
- 主要株主であつた者が主要株主でなくなったとき
- 主要株主でなかつた者が当該提出会社の主要株主になったとき
- 重要な災害(純資産額の3/100以上に相当する額である災害をいう。)が発生して、被害が事業に著しい影響を及ぼすと認められたとき
- 訴訟が提起され、当該訴訟の損害賠償請求金額が、純資産額の15/100以上に相当する額であったときなど
臨時報告書は、東証が求める適時開示と近い位置づけにあることがわかります。
なお主要株主、特定子会社については、ここで説明しています。ご参考ください。
臨時報告書の提出期限
臨時報告書は、”遅滞なく”提出を求められます。
しかし遅滞なくという期限は明確になっておらず、大企業でも数カ月単位で遅れて臨時報告書を提出している事例はあります。
なお、金融商品取引法第172条の4において、臨時報告書を提出しなかったり、虚偽記載があった場合、課徴金を課される条文が存在するので、注意が必要です。
臨時報告書とIPO
IPOをした直後から臨時報告書の提出が必要になります。
例えば、主要株主の異動は定番になります。