予備申請とは、上場申請を申請期ではなく、直前期に行うことができる制度であり、通常の上場申請よりも、数か月早く上場ができる制度です。
予備申請とは
「できるだけ早くIPOをしたい」「上場日を縁起の良い日にIPOしたい」というような希望を持つ経営者の割合は高くなります。
できるだけ早いIPOを目指すため、多くの経営者が、申請直前期に係る定時株主総会終了直後に上場申請することを希望します。また上場日に仏滅や先負というような日を避け、大安吉日への上場を好む割合は高くなります。
つまりそれは、3月決算の会社が圧倒的に多い日本企業の場合、上場申請日が集中し、さらにそれが上場希望日が集中するような現象を引き起こしてしまいます。
そこで東証は、予備申請という制度を設けています。
予備申請とは、直前期末の3か月前以降(つまり、3月決算会社であれば、直前期の1月以降)であれば、上場申請を行うことができるという制度です。つまり、上場申請を申請期ではなく、直前期の期中に行うことが可能な制度になります。
予備申請のメリットや狙い
予備申請をするメリットや狙いは大きく3つ存在します。
① 上場日を数カ月単位で早期化できる
1日でも早期にIPOを希望する会社にとっては、大きなメリットになります。
② 別会社と同一日に上場することを避けることができる
複数の会社が同一日にIPOをした場合、IPO株式の人気が分散し、初値を含むIPO後の株価形成が経営者の思惑や希望と異なってしまう要因を引き起こす可能性があります。
またIPOとは、重要なマーケティング活動の舞台でもあります。
複数社が同一日にIPOするよりも、1社だけのIPOの方が集中して注目を浴びることが期待できます。
③ 上場審査が長期に至った場合のリスクヘッジ
上場審査が予想より長期になることはよくあるケースです。そのようになったとしても、上場延期にならないようにリスクヘッジとして、予備申請を活用できます。
予備申請、上場申請、引受審査
予備申請を行う会社は、引受審査を直前期の第2四半期~第3四半期に開始するような会社になります。それはつまり、主幹事証券会社が内部管理体制や業績状況等の信頼性に関して、通常で上場申請する会社よりも高いレベルと認めた会社に限られるということになります。
予備申請を行うと、上場審査は、通常に必要な資料のドラフト等をベースに前倒しで進められ、定時株主総会終了後に改めて正式に上場申請を行います。
なお、予備申請を行う際には、上場申請予定日を伝える必要があります。