「公開会社」とは単に、譲渡制限が設けられていない株式が1株でも存在する会社です。「公開会社」=「上場会社」ではありません。

IPO準備が始まると「~会社」という似た言葉を聴くようになります。

その中でよく間違えるのが、「公開会社」と「上場会社」を混同することです。

内容は違います。

公開会社とは

公開会社の定義は、会社法第2条第5号で定められています。

「公開会社」とは(会社法第2条第5号)

その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

つまり「非公開会社」は、「その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている株式会社」といえます。

したがいまして非公開会社が公開会社になるためには、上場審査等が必要なく、自社の決議と定款変更、変更登記だけで完結します。

一方、上場会社とは、証券取引所の審査をクリアし、会社株式が証券取引所を通じて、取引されるようになった会社をいいます。

つまり上場会社は、上場会社かつ公開会社になります。

日本の非上場会社のほとんどは非公開会社ですが、非上場会社の中に公開会社は存在します。

公開会社への変更

上場の形式要件には次のような条文が存在します。

有価証券上場規程第 205 条第 10 号

新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること

この規程によると「上場の時までに」と書かれておりますが、新規上場ガイドブックには次のような記載があります。

新規上場ガイドブックより

上場申請に係る株式について譲渡制限の制度を設けている会社は、審査期間内に定款を変更し、当該変更事項を反映した登記事項証明書等を提出していただくことが必要です。

したがいましてIPOを目指す会社は、非公開会社から公開会社への変更に関する登記が上場承認日の前日までに完結できるようにスケジューリングが必要になります。