主幹事証券会社オーバーアロットメントをするために借りた株式を返却するために行う手段のひとつがシンジケートカバー取引です。

シンジケートカバー取引をわかるには、まずオーバーアロットメントから

IPOの承認を受け、株式を公募する際、ほとんどの会社が主幹事証券会社との間でオーバーアロットメントを行います。オーバーアロットメントの説明をこのサイトでしています。

オーバーアロットメント【IPO用語】

主幹事証券会社は、オーバーアロットメントを実行した後、オーバーアロットメントを実行するために借りた株式を何等かの方法で調達して、返却しなければいけません。

その返却方法は2つの方法があり、そのひとつが、シンジケートカバー取引になります(日本証券業協会有価証券の引受け等に関する規則」第2条22号)

「シンジケートカバー取引」とは

オーバーアロットメントを行った引受会員が、募集又は売出しの申込期間が終了した後に、当該オーバーアロットメントにより生じたショートポジションの数量を減少させるために行う当該引受会員の計算による当該募集又は売出対象有価証券の買付けをいう。

(出所:日本証券業協会「有価証券の引受け等に関する規則」第2条22号)

シンジケートカバー取引の実施期間は、IPOの株式募集又は売出しの申込期間の終了する日の翌日から最長30日間となります(日本証券業協会「有価証券の引受け等に関する規則」第29条第3項)。

またシンジケートカバー取引が終了後、証券会社が東証へ「シンジケートカバー取引等完了報告書」を提出します。

もうひとつの方法がグリーンシューオプションになります。グリーンシューオプションについてはこちらで説明しています。

グリーンシューオプション【IPO用語】

IPOAtoZでは、2019年に東証へIPOを達成した82社のうち81社がオーバーアロットメントを行い、そのうち31社がシンジケートカバー取引をしていた模様です(IPOAtoZ調べ)。

グリーンシューオプションとシンジケートカバー取引

オーバーアロットメントを行う主幹事証券会社は、1円でも儲けたいために、出来る限り安い株価で株式を調達して、株式を返却しようと考えます。

オーバーアロットメントを行う主幹事証券会社には、IPO後の株価動向によって取引市場から株式を調達する方が安いか、グリーンシューオプションとして予め定められた株価で株価を調達する方が安いのかを比較して、安い方を選択できる特権があります。

シンジケートカバー取引は、IPO直後の株価が低迷している場合に選択される取引です。

シンジケートカバー取引を行うという事は、一定水準のまとまった株式数の購入を証券市場を通じて行うということになるため、低迷している株価の向上や安定化を期待できます。