税制優遇措置があるストックオプションであり、IPOを目指すベンチャー企業が最も多く採用しているストックオプションです。
ストックオプションは、原則、権利行使をした日の株式時価から権利行使価格を除した相当分が所得税課税されます。
しかし、ストックオプションを権利行使しても、実際には自社株を取得したに過ぎず、金銭での財産を得た事になりません。
図 一般的なストックオプション税制イメージ
そこで一定の要件を持つストックオプションに、権利行使をしたタイミングで課税義務を負わせず、株式を売却したタイミングのみ課税義務を負わせるという税制優遇措置を設けました。これを「税制適格ストックオプション」といいます。
図 税制適格ストックオプション税制イメージ
税制適格ストックオプションとして税制上の優遇措置を認められるためには、租税特別措置法第29条の2に定められた要件を満たす必要があります。
- 取締役
- 執行役
- 使用人
- 議決権50%超子会社の取締役、執行役、使用人
- 社外高度人材(スタートアップの成長に貢献する業務を担うプログラマー・エンジニア、弁護士等)
- 権利行使を行う前に割当対象者が死亡等の理由により、相続をすることになった相続人
- 大口株主(非上場株式の場合:発行済株式の1/3超を保有する株主 上場会社の場合:発行済株式の1/10超を保有する株主)を除く
- 大口株主の特別関係者(親族、配偶者、大口株主と生計を維持している者など)を除く
権利行使価額 | 権利行使価額が、契約締結時の時価以上 |
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権利行使期間 | 付与決議日の2年後から10年後まで。ただし
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権利行使限度額 | 権利行使価格の合計額が年間で1,200万円を超えない。ただし
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譲渡制限 | 譲渡禁止 |
発行形態 | 無償 |
株式の交付 | 会社法に反しない |
保管・管理などの契約 | 譲渡制限がない株式については、金融商品取引業者等と保管の委託契約していること |
ストックオプションは、いくつかの種類がありますが、IPOを目指す会社が最も多く採用しているのは、「税制適格ストックオプション」です。
法人税法上、新株予約権を対価とする費用の損金算入が認められるのは、新株予約権の被付与者が新株予約権を行使して所得税法における給与所得等の課税事由が生じた場合に限られています。
税制適格ストックオプションは、新株予約権を行使した際、給与所得等の課税事由が生じないため、新株予約権を対価とする費用の損金算入が認められません。
社外高度人材とは
税制適格ストックオプションは、原則、自社または子会社の役職員に付与することが一般的ですが、一定の要件を満たせば、社外の人材へ付与しても、税制優遇措置を適用することが可能です。
社外高度人材へのストックオプションについては、主に次のような注意が必要になります。
- あくまでも税制上の話であり、IPOに係る審査の話ではない事に注意が必要になります。
- 認定対象企業として、認定される必要があります。
- 社外高度人材は、中小企業等経営強化法施行規則第4条に規定された要件が必要になります。
- 会社に対し、貢献していることが認められる必要があります。
長くなるので、経済産業省が紹介しているページをご参考ください(こちらになります)。