引受価額が会社や売出人の手取に相当する金額になります

IPOをする際、発行価格を決めるプロセスにおいて、「~価格」や「~価額」などよく似た言葉が出てきて、混乱します。ここでは引受価額について説明させていただきます。

引受価額について理解するためには、まずスプレッドを理解する必要があります。

スプレッドとは

引受証券会社の販売手数料に相当する率になります。

スプレッドは、発行会社と主幹事証券会社の間で相談して決定します。

その相談でスプレッドが5%、発行価格が1,000円に決定したとします。

なお発行価格とは何かという説明はこちらになります。

発行価格(公募価格・公開価格)【IPO用語】

2,000株の売出を行う売出人は、2,000株を証券会社へ190万円で売ることになります。

(1,000円-1,000円×5%)×2,000株=1,900,000円

つまり証券会社にとっては、190万円が仕入価格です。

証券会社は、一般株主等へ2,000株を200万円で売ることになります。

1,000円×2,000株=2,000,000円

この例の証券会社の手数料は、10万円になります。

2,000,000円-1,900,000円=100,000円

証券会社は高いスプレッドを求め、発行会社は低いスプレッドを求めることになりますので、時々トラブルになる場合があります。

2019年のIPOにおけるスプレッドに関する記事はこちらになりますので、ご参考ください。

スプレッドの分析をしてみました(2019年東証IPO会社)【IPO分析】

引受価額とは

株式の募集や売出しをする際、会社や売出人は、幹事証券会社へ「引受価額」で株式を売却することになります

「引受価額」=「発行価格」×(100%-「スプレッド(%)」)/100

になります。

つまり会社にとっては、引受価額が資本組入額を計算する上での株価になります。

引受価額と発行価額との違い

引受価額には、よく似た用語がいくつかあります。

まず発行価額です。

発行価額は、会社法上の払込金額に相当する株価になります。発行価額に関する説明はこちらになります。

発行価額【IPO用語】

発行価額や発行価格、引受価額の違いや決定プロセスについてはこちらで説明しています。ご参考ください。

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