2019年12月25日に東証マザーズへ上場したWDBココ株式会社の目論見書によると、直前々期の配当性向は51.5%、直前期の配当性向は53.7%もあります。つまり、WDBココは、IPOする前から利益の半分以上を配当金の支払いに使っています。

上場申請会社は、利益で得た資金の全額を事業成長のために使うことが多いため、配当を支払っていない無配企業がほとんどです。

特に東証マザーズへの上場を目指す企業は、成長途上にあり、企業が稼いだキャッシュは投資に消えることが多いため、無配企業がほとんどです。

なぜWDBココの配当がこんなに高額だったのでしょうか?

WDBココの配当が高い理由

WDBココは、上場会社であるWDBホールディングス株式会社の完全子会社でした。

WDBココは、WDBホールディングスの株主へ還元させる必要性があるため、高配当を実施していたという理由がありました。WDBココは、上場会社の子会社として、金融市場のあるべき姿を優先していたということになります。

ちなみにソフトバンクグループホールディングスの子会社のソフトバンクは、上場申請直前期の配当性向が195%もありました。

子会社の配当金

上場会社になると、株主に対して、適切な利益還元を求められます。

利益還元の代表格は、配当金です。

配当金の支払は、会社法で上限が規制されています。もし、上場会社の子会社が利益をあげていると、グループ全体の連結決算には貢献していることになりますが、その利益を子会社に内部留保していると、上場会社の株主へ十分に還元できないことになります。

そのため、利益をあげている子会社が存在する場合、必要資金以外の余剰資金を親会社である上場申請会社へ配当として還元することが求められます。

したがいまして子会社を保有する会社が上場する場合、子会社が獲得した利益を最大限に配当として親会社(上場会社)に還元することが求められます。

連結配当規制

会社法上の配当可能限度額を単体ベースで算出した額より、連結ベースで算出した額のほうが少ない場合、その少ない連結ベースで算出した額がその会社の配当可能限度額となる制度として、「連結配当規制」が存在します。

もし、連結ベースで算出した配当可能限度額のほうが多い場合でも、単体ベースで算出した額が上限となってしまいます。

連結配当規制の制度を採用するか否かは、会社の任意です。

連結配当規制会社になるための手続きは、会社法で特段決議を求められておらず、注記表に「連結配当規制の適用を受ける」を記載すれば、それで終了です。

まとめ

上場会社子会社の配当について、紹介させていただきました。

連結子会社を保有する会社が上場を目指す場合、子会社から親会社へ最大限の配当還元を求められます。

子会社からの配当の支払金額は、配当可能限度額を考慮しつつ、キャッシュフローや資金繰り計画をベースにして決定することが求められます。