業務全体をアウトソーサーへ「丸投げ」することは、絶対ダメです。

東証が発行している新規上場ガイドブックで、管理業務のアウトソーシングについて書かれている事を要約すると、以下のようになります。

  1. 主体は申請会社
    • どのような業務をアウトソーシングするにせよ、事業遂行のための意思決定、戦略立案など会社としての方向性を決定する最終的な判断は申請会社自身が行う必要があります。また、アウトソーシングした業務内容、アウトソーサーから入手した資料に対する理解を申請会社自身ができており、かつ、アウトソーサーが行う業務内容の評価などの管理を定期的に自社が主体となって行う必要があります。
    • 内部監査業務をアウトソーシングする場合は、アウトソーサー任せにせず、社長等が主体的に関与している必要があります。例えば、計画・監査内容の策定や改善方法の決定等といった主要な業務を申請会社が行うこと原則ですが、ノウハウやリソースの関係からそれらを含めて包括的にアウトソースする場合には、実効性の高い内部監査が実施されるよう、会社の現状、業務内容、問題意識などを適切に伝えたりするなど主体的に関与することが必要です。
    • 総務・経理部門の一部をアウトソーシングした場合、 正確性や秘密保持を担保するとともに、アウトソーシング先から入手した資料を自社で分析できる体制が整っており、かつ情報取扱責任者が責任をもって開示できる体制になっていることなどが必要です。
  2. 適切なディスクロージャーへの対応
    • 法令等に基づくディスクロージャーや決算短信などのタイムリーディスクロージャーに密接に関連する業務の一部をアウトソーシングする場合には、適時・適切な開示に支障のないような体制確保が必要です。
    • アウトソーシングしている業務の重要性に応じて、その内容を「Ⅰの部」の「事業等のリスク」等にも適切に記載することが必要です。
  3. インサイダー取引規制への対応
    • 業績に関する情報など、重要事実に該当する情報をアウトソーサーが外部公表前に知り得ることができる場合には、機密保持契約を締結するなど、情報の漏洩を防止するための適切な手段を講じる必要があります。
    • 経理部門の一部をアウトソーシングしている場合などにおいては、重要事実の外部流出防止の観点から特に意識して管理している事項などを説明できる必要があります。
  4. アウトソーサーの適切な選択
    • アウトソーサーへの業務遂行が安定的かつ継続的に実施されるべく、信用力や実績のあるアウトソーサーを選定すべきであり、また、万が一アウトソーサーへの業務委託が継続できなくなるような状況が発生した場合に備えて代替先の確保が容易に行うことができるか、もしくは会社内部での対応にすみやかに切替えることが可能であるかなどの体制整備をする必要があります。

上の項目に加え、財務報告に関して重要な影響を及ぼす業務をアウトソーシングしている場合は、内部統制の評価対象となっています。

ポイント

「主体は申請会社」が成立しているかどうかを第三者が理解できるようにしなければいけません
  • 申請会社が、主体的に関与している事を第三者が理解できるようにすることが極めて重要です。質問に対する回答がスムーズに出来ないといった事が連続すると、アウトソーサー任せになっていると判断されます。
  • 主幹事証券会社や監査法人への相談は、必須です。