業種・業態別の上場審査のポイント

IPO準備をする流れは、どのような業界・業種に区別ありませんが、審査ポイントは大きく異なります。

業種・業態などで審査ポイントが変わる
  1. 製造業VS非製造業
  2. 自社工場で生産する会社VSファブレス企業
  3. 生産財を販売する会社VS消費財を販売する会社
  4. 多店舗経営をする会社VS集中型の経営をする会社
  5. 少人数運営体制による会社VS多くの社員を雇用している会社
  6. 子会社を保有している会社VS子会社を保有していない会社
  7. 多くの在庫を有する会社VS在庫を保有しない会社
  8. 研究開発型の会社VS研究開発を要しない会社
  9. 同族企業VS非同族企業など

東証が出版している新規上場ガイドブックには、次のようなことが書かれています。

新規上場ガイドブック市場第一部編、市場第二部・JASDAQ編
行政等による許可、認可、免許、登録を必要とする業態

企業グループの主要な事業活動が、行政等による許可、認可、免許、登録を必要とする業態である場合には、それらが取り消されると事業活動が立ち行かなくなることが考えられます。
したがって、そのような観点から、当該許認可等が更新できなくなる要因が発生していないことを確認します。

特定の取引先との販売代理店契約又は生産委託契約に大きく依存する業態

企業グループの主要な事業活動が、特定の取引先との販売代理店契約又は生産委託契約に大きく依存する業態である場合には、それらが取り消されると事業活動が立ち行かなくなることが考えられます。
したがって、そのような観点から、当該許認可等が更新できなくなる要因が発生していないことを確認します。

多店舗展開の業態

仮に経常黒字であったとしても、多店舗展開の業態で毎期店舗撤退にかかる損失が発生する場合や、訴訟結果により賠償金を継続的に支払う必要がある場合など、継続的な特別損失の発生が見込まれる場合は、経常利益のみならず、当該損失の影響を踏まえた判断を行います。

IPOAtoZでは、IPOの事例を通じて、業種・業態別の上場審査のポイントについて説明している記事があります。

こちらになります。ぜひご参考ください。

今後は事例を通じて、どんどん増やしていくつもりです。

上場審査とコンプライアンス

上場審査のポイントは、審査直前に起こった社会的問題や不祥事、法令諸規則によっても変化します。

IPOの審査や準備に影響を与えた社会的問題や法令諸規則など
  1. 株式会社電通の社員の過労死
  2. 株式会社エフオーアイによる粉飾決算
  3. 株式会社レオパレス21における施工不良問題
  4. 日産自動車株式会社の社長による公私混同問題
  5. 株式会社ライブドアによる有価証券報告書虚偽記載事件
  6. 日産自動車やSUBARU、スズキなどで起こった品質管理における不正問題
  7. レストランやホテルで起こったメニュー虚偽記載問題
  8. 会社法や企業内容等の開示に関する内閣府令等の改訂
  9. 会計制度の改訂など

例えば、電通の社員が過労死でお亡くなりになった事件後は、社内でのハラスメントや勤務時間管理等に対する調査がクローズアップされました。さらに品質管理に関する社会的問題があれば、品質保証部門に対する調査も厳格化されます。

自社の経営課題の中で、業界全体的な課題があれば、ほぼ間違いなく審査ポイントになります。例えば株式会社レオパレス21における施工不良問題があった後は、建設不動産関係の会社に対して、検査体制の調査が厳格化されました。

主幹事証券会社の公開引受部門担当者に聞いてみましょう。

IPO AtoZは、主にIPO事例を通じて、業種・業態別での審査ポイントをこちらで紹介しています。

ぜひご参考ください。