特にマザーズなどの新興市場にIPOをした直後の株価は、IPOセカンダリーが好きな個人投資家が集まって、乱高下が起きる場合がよくあります。

つまりIPO直後の株価は、会社の事業内容や業績に対する評価とは全く関係ない方向に進むケースがあります。これは会社にとっては、どうしようもないことです。

IPOを達成した後は、初めての決算発表と2回目の決算発表が極めて重要といわれています。

そこでしっかりとした数字を出した会社と出せなかった会社は、道が大きく分かれます。

ここでは2019年10月8日に東証マザーズへ上場したHENNGE株式会社を事例にして、予算の考え方について説明させていただきます。

HENNGEのIPO

2019年10月8日に東証マザーズへ上場したHENNGE株式会社のIPO直後の株価は、経営者にとって最高な気分にさせるチャートです。

HENNGEのIPO後、約半年間のチャートは、以下のようになっています。

  ●:決算発表日の株価

このチャートを大きく3つに分けると以下のようになります。

タイトルが入ります。
  1. 最初の決算発表まで下がり続ける。
  2. 最初の決算発表をきっかけに株価が下げ止まり、上り始める。
  3. 2回目の決算発表をきっかけに株価が急上昇する。

株価はコロナ禍の影響で、急上昇後に急減速するなど、ボラティリティが大きくなっていますが、HENNGEの事業は、テレワークに関連した銘柄でもあることなどの理由から、非常に高い評価をされています。

本記事を書いている日までは発行価格や初値を下回ったことがなく、株価は後に9,000円台に突入するなど、個人投資家の間では、東証マザーズ上場会社の中で人気のある会社の1社になっています。

トゥエンティフォーセブンとの違い

ほぼ同時期にIPOをしながら、上場ゴール企業の一社として位置づけられているトゥエンティフォーセブン(7074)と比較すると一目瞭然です。トゥエンティフォーセブンのIPOは、問題視されています。

【上場1か月後に大幅下方修正】トゥエンティーフォーセブン【IPO失敗事例】

表 HENNGEとトゥエンティフォーセブンの違い

HENNGE

株価絶好調!

トゥエンティフォーセブン

株価ボロボロ!

予想 実績 予想 実績
申請期 売上 増収予想 予想より増収した 増収予想 予想より増収額が低い
利益 減益予想 予想より減益額が低い 増益予想 減収に終わった
申請翌期 売上 大幅増収予想 大幅増収 増収予想 減収
利益 大幅増益予想 大幅増収 大幅減益予想 大幅赤字

IPOを目指す会社の予算の考え方

HENNGEとトゥエンティフォーセブンの大きな違いは、まず申請期のコストに対する考え方であることは明らかです。

HENNGEは、コストの増額を保守的に計画していました。

その一方、トゥエンティフォーセブンは増益を確保するため、売上確保に最も重要なマーケティング広告を削っています。それが起因として、新規顧客が伸びずに減益という結果になってしまいました。

予算作成時においてコストは、保守的に見積ることを強くおススメします。