
バスケット条項とは
金融商品取引法に規定される「(業務等に係る)重要事実」のうち、「決定事実」「発生事実」「決算情報」以外で「上場会社等および上場会社等子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」として定義されています(金融商品取引法第166条2項4号・8号)。
バスケット条項とは、法令などの条文として明確に表現しきれないようなインサイダー取引を包括的に拾い上げる機能を果たす条項になります。つまり「その他」というような意味合いの条項です。
バスケット条項とはインサイダー取引の中で、一番引っかかりやすい条項です。
インサイダー取引をしてしまうと、最悪のケースで5年以下の懲役等の重い罰則があります。
バスケット条項の事例
どのような取引がバスケット条項に引っ掛かるのか、または引っ掛からないのかをスパッと線引きできるのは、一般個人では困難です。
なお東証が発行している内部者取引防止規程事例集によれば、次のようなケースがバスケット条項に抵触したと公表しています。
- 巨額の架空売上が判明したケース
- 製薬会社の主力薬品で薬害が発生したケース
- 上場会社が製造、販売する製品の強度試験の検査数値の改ざん及び板厚の改ざんが確認されたケース
- 複数年度に亘る不適切な会計処理が判明したケース
- 複数の過年度決算数値に過誤があることが発覚したケース
- 所管法令に基づく業務停止命令の行政処分を受けることとなることが判明したケース
- 新薬の副作用情報
- 新商品の開発情報
- 臨床試験の開始等の情報
- 人事、組織等に関する重要な事実など
(出所:内部者取引防止規程事例集 東京証券取引所より)
さらに証券取引等監視委員会が公表している「課徴金事例集・開示検査事例集事例」が最大の参考事例集になっています。
バスケット条項とIPO準備
IPOを目指す会社関係者が気を付けるべきバスケット条項とは、特に自社の大株主に上場会社が存在する場合です。
上場承認直前に大株主の株式を購入することは、バスケット条項について抵触してしまう可能性が出てきます。
そのようなことを防止するため、IPO準備直前になれば会社関係者は、IPO準備について口外しないようにしなければいけません。