IPOを達成した会社の業種で、最も大きな割合を占めている業種のひとつが「人材ビジネス」です。

2018年は7社人材ビジネスの会社がIPOを達成し、2019年は10社も達成しました。

近年、IPOを達成した会社の内、10%前後が人材ビジネスの会社が占めているという状況です。

人材ビジネスは参入障壁が低く、会社の信用力がモノをいう業種のため、人材ビジネスを展開している会社がIPOを目標とするのは自然な流れであるため、人材ビジネスのIPO予備軍は、山のように存在しています。

ハウテレビジョンの目論見書チェック

2019年4月14日に東証マザーズへ上場した株式会社ハウテレビジョンは、「外資就活ドットコム」というリクルーティングシステムを開発・運用している人材ビジネス会社です。このシステムは、国内外の難関大学に所属する新卒学生だけが閲覧可能なシステムであり、外資系企業や入社難易度が高い企業のみを掲載するというニッチな分野に絞り込んでいます。

人材ビジネス会社のIPO

2019年以降にIPOを達成した人材ビジネスの会社をまとめると以下のとおりです。

表 2019年~2020年前半にIPOを達成した人材ビジネス企業一覧

事業内容
識学 独自組織運営理論『識学』による経営層向けコンサル
カオナビ 顔写真使う企業向け人材マネジメントシステム
ギークス フリーランスIT人材紹介
ハウテレビジョン 難関大新卒学生向け就活サービス『外資就活ドットコム』の運営
Sansan クラウド型名刺管理の法人向けサービス
ジェイック フリーターや大学中退者を中心にした人材紹介
メドレー ヘルスケア領域向け成果報酬型人材紹介
ランサーズ フリーランス人材をあっせんするプラットフォーム『ランサーズ』を運営
ユナイトアンドグロウ 中堅・中小企業向けにIT人材と知識を提供するシェアード・エンジニアリング
スポーツフィールド 体育会学生向け就職サイト『スポナビ』運営
フォースタートアップス スタートアップ企業への人材紹介
ビザスク 業界業務の経験豊富なプロに、1時間からピンポイントに相談できる日本最大級のスポットコンサルマッチング

近年、IPOを達成した人材ビジネスの企業の共通点は「ターゲットとなる対象が絞り込まれている」または「プラットフォームとなっているITシステムが特徴的である」です。中には、あまりにもニッチすぎる事業内容で「よくIPOできたなあ」と感じるような会社もあります。

一般的な転職・就職活動を支援する総花的な人材ビジネスや、人脈や会社規模を武器にした人材ビジネスでIPOを達成した会社は、2018年以前を遡っても、見当たらず、IPOを達成した会社はターゲット分野やITシステムで差別化を図っている会社ばかりです。

IPOをする際の目論見書には、会社の事業特性をバンバン書くことになりますが、差別化を図れていない会社に対するブックビルディングの反応は低評価です。

不動産業・建設業が業績水準が高いにも関わらずIPOで苦戦するのは、「差別化」の一点です。