訴訟を提起されている会社、そもそも過去から何度か訴訟を提起されており、かつ将来的にも訴訟提起を受けるであろうと見込んでいる会社がIPOを達成した事例がありました。

このような会社がIPOを達成したのは、レアケースだと思いましたので、紹介させていただきます。

係争に関する上場審査の考え

東証が定める「上場審査等に関するガイドライン」には、次のようなことが書かれています。

上場審査等に関するガイドライン(Ⅱ 6.(2))

新規上場申請者の企業グループが、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと。

  • 「経営活動や業績等に重大な影響を与える可能性のある係争又は紛争があれば、上場はヤバいです」
  • 「係争又は紛争があったとしても、経営活動や業績等に、さほど重大な影響を与えるほどのものではないのであれば、Ⅰの部にキチンと開示すれば、上場できる可能性がありますよ」

という解釈になります。

一方、どこからが重大であり、どこまでが重大でないのか基準が不明確です。そのため、事例を見るということは、無駄ではないと思います。

ちなみに、過去には、社長が刑事裁判を受けているにもかかわらず、引受審査や上場審査では”ダマテン”を通し続け、上場を達成した事例があります。

この会社社長は、上場を達成した約1カ月後に有罪判決を受けました。この会社は不動産業者であるにもかかわらず、社長の有罪判決により、即時、宅地建物取引業免許を取り消され、営業活動が出来なくなりました(上場1カ月後ですよ)。

その事例はIPO準備のプロセスを変えるほどの事例になるほど、IPO業界に負の影響をもたらしました。

その会社は、株式会社〇ルデプ〇(892〇)という会社です。

訴訟を提起されている会社のIPO事例

この会社(「A社」といいます)に対しては、過去から何度か訴訟提起されているようです。

そのようなことが起きている背景は、A社が健康被害をもたらす危険性がある商品を製造販売しているためです。

A社は、今後将来も訴訟提起が発生するであろうと予想しており、引当金を計上しています。

Ⅰの部において、訴訟については、【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】【事業等のリスク】【経理の状況】に繰り返し記載されており、丁寧な書きぶりになっています。ダマテンを通した株式会社〇ルデプ〇(892〇)とは、雲泥の差です。

どの会社も訴訟を提起される可能性は、ゼロではありません。

表向きには、係争又は紛争があったとしても、重大な影響が無ければ、上場審査をクリアできることになっていますが、訴訟を提起されている立場の場合、実質的には、上場の壁は極めて高いものと思われます。

運悪くIPO準備期間中に訴訟提起を受けると、ほぼ間違いなくIPO準備はストップになり、ほとんどのケースは、↓の【IPO事例-22】のように訴訟案件が解決した後に引受審査入りすることになるものと思われます。

係争事件、訴訟事件の事例【IPO事例-22】

A社の場合は、過去から同様な理由で訴訟を何度か受けているため、悪い言い方になりますが、訴訟への対応経験が豊富だったことが上場審査で安心感を与えたのではと推察します。

A社のように訴訟を受けるような会社にとって、IPOのハードルが高くなる理由は、上場審査以外にも壁があるからです。

それは引受審査です。

A社のように訴訟を受けている会社、また今後も継続的に訴訟を受け続ける可能性が高い会社というのは、業績にハンディを負っています。

業績にハンディを負っている会社は、投資対象となりにくいと懸念され、幹事証券会社になることを躊躇する証券会社が多くなることが予想されます。

IPO時には、幹事証券が10社前後になるケースが多々ありますが、A社の幹事証券の数は、たった4社でした。

ご関心がおありな方は、IPOAtoZにご一報ください

訴訟を受けている中でIPOを達成した会社名や、Ⅰの部に記載していた内容については、こちらで紹介しています。

訴訟を提起されている会社がIPOを達成した事例【IPO事例-24】

ご関心がおありの方は、↓のフォーマットでお問合せ頂ければ、この記事のパスワードをお教えさせていただきます(無料です)。

    IPOAtoZでは、上場審査や上場準備段階で大きな議論になったと思われる事例を蓄積しています。

    カテゴリーのIPO事例で紹介しておりますので、ご参考ください。