
主幹事証券会社やIPOコンサルタントは、これまで、そしてこれからも何度も何度も「IPOをすると、パブリックカンパニーとして、社会的責任が大きくなります。」というお決まりのセリフを出すことになります。
このセリフを言うと、ほとんどの経営者は、「言っていることは、わかるけど。。。」「はいはい。わかりましたぁ」というレベルで終了すると思います。
ちょっと切り口を変えて、上場企業の役員になると、責任が重くなると実感できるような、非常に良い事例が2つありますので、紹介させていただきます。
事例1 粉飾決算(エフオーアイ事件)
上場会社になれば、ステークホルダーが爆発的に増加します。
ステークホルダーの数の多さは、責任の重さに比例します。
日本のIPO業界だけではなく、証券業界を震撼させた株式会社エフオーアイの粉飾決算事件がありました。
エフオーアイの粉飾は社長とCFOが主導して行ったものですが、非常勤監査役は、その粉飾を見抜けなかったという責任をとられ、1.7億円強の損害賠償金を支払うことになりました。
エフオーアイは、上場さえしなければ、経営者の責任は限定されたはずです。
エフオーアイ事件については、↓で紹介しています。
事例2 役員による少額横領事件
エフオーアイ事件は、あまりにもぶっ飛びすぎているため、「IPOをすると、パブリックカンパニーとして、社会的責任が大きくなります。」という事例にエフオーアイ事件を使っても、あまりピンとこないと思います。
そこで、エフオーアイ事件に比べると非常にショボいですが、どこの会社でも起きそうなわかりやすい事例を紹介させていただきます。
それは、上場準備をしている会社の役員が犯した不正行為が上場後にバレてしまったという事例です。
上場前にバレる、またはその会社が上場しなければ、完全に闇に葬られるような出来事ですが、その会社が上場してしまったため、誰が不正を犯したのかという事が世間にバレてしまうという事例です。
ここで説明させていただきます。
ある会社役員の横領事件
ある会社(以下「A社」といいます)の役員(以下「B氏」といいます)は、会社の金を横領してしまいました。
架空の出張や接待を繰り返し、会社に請求していたという内容でした。その総額は、3百万円です。
横領した手口は、↓の人とほぼ同じですね。
B氏が会社の金を横領をしたときは、A社は非上場会社でした。
しかし、A社は上場してしまいました。
プレスリリース
この横領事件は、A社が上場後に発覚しました。
そこでA社は、ある役員が横領を行ったことが発覚したというプレスリリースを出しました。
しかし、A社は、あえてB氏の名前を出しませんでした。
また示談で終わったということでB氏に対して、刑事告発等をしませんでした。
という事は、これで横領事件は、ひとまず終了です。
しかし、それで終わりません。
身バレ
A社は、株主総会で役員選任議案を出しましたが、ある役員1人だけを除いて再任されました。
したがいまして、再任されなかった役員が会社の金を横領した役員であることは、間違いありませんね。
Ⅰの部には、横領を犯した可能性が極めて高い役員の名前、生年月日、経歴が記載されています。
株主総会で笑いものになったかもしれません。
A社が上場会社にならなければ、B氏の横領事件は完全に闇の中でしたが、上場会社になってしまったために私のようなブログ運営者でも簡単に犯行者がわかってしまいます。
B氏は、今後上場会社の役員として相応しくない人物、つまりブラックリストとして証券会社のデータにインプットされているかもしれません。
IPOAtoZのサービス
IPOAtoZでは、上場準備において、参考になる事例を蓄積しています。こちらにあります。
この記事でとりあげた事例は、間違いなく「IPOをすると、役員の社会的責任が大きくなる」ということが実感できる事例だと思います。
「この会社はどこなの?」「誰が不正をしたの?」をお知りになりたい方は、「IPO事例3を教えて」という一言を添えて↓のフォーマットからお問い合わせください。
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