日本国内の証券業界に激震が走った事件の一つにエフオーアイの粉飾がありました。

この事件の概要は、こちらに紹介しています。

【粉飾決算でIPO】株式会社エフオーアイ【IPO不祥事事例②】

これは10年以上も前の事件ですが、この事件に関する係争は、まだ続いておりまして、12月22日に最高裁で上告審判決がありました。

「粉飾企業巡り調査不十分、みずほ証券に賠償責任 最高裁」(出所:日本経済新聞 2020年12月22日の記事より)

半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」(破産)の粉飾決算を巡り、新規株式公開(IPO)時の主幹事だったみずほ証券を相手取って株主が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が22日、最高裁であった。第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は、みずほ証券の調査が不十分だったとして、同社の賠償責任を認めた。

その上で損害額を算定するため審理を高裁に差し戻した。企業の粉飾を巡り、上場に関わった証券会社の責任について最高裁が判断を示すのは初めて。

みずほ証券は「当社の免責が認められなかったことを真摯に受け止めている。今後も、堅固な引受審査態勢の下、投資者の保護を図る」とコメントした。

金融商品取引法は、虚偽記載がある書類を使って株を募集した証券会社は賠償責任を負うと規定する。ただし虚偽と知らなかった場合などは免責される。

みずほ証券はエフ社の粉飾決算を指摘する投書を2回受け取っていたが、信ぴょう性がないと判断して上場関連手続きを進めた。エフ社は2009年11月の東証マザーズ上場後に粉飾が発覚。売上高の97%が架空で、10年6月に上場廃止となった。

第3小法廷は判決理由で、金商法の規定について「証券会社が専門知識に基づいて審査することで、開示情報の信頼性を担保させるのが趣旨」と指摘。財務内容については監査法人のチェックを信頼するのが前提だが、その信頼性に重大な疑義を生じさせる情報を得た場合は調査確認が必要で、それがなければ免責規定は適用されないとの判断を示した。

その上で「2回の投書は粉飾の手法や内容を具体的、詳細に指摘しており、みずほ証券は必要な調査をすることが期待されていたが、十分な調査確認をしたとはいえない」と判断、免責を認めた二審・東京高裁判決を破棄した。

企業法務に詳しい遠藤元一弁護士は最高裁判決を「重大な疑義に関する情報に接した時点で調査が求められると指摘しており、不正への早期警戒を促している」とみる。一方、疑わしい情報をどこまで調査すべきかについては「(判決では)ルールが具体的に示されておらず、現場が戸惑う可能性がある」とも指摘した。

今回の判決は証券各社の実務に一定の影響を及ぼすとみられる。上場時の審査の中で十分なチェック機能を果たすためには人員の増強など相応のコストがかかる。みずほ証券も粉飾発覚後、外部の専門家の活用などで再発防止策を図ってきた。

だが、規模の小さい新興企業のIPO関連業務は「単体で高収益を生むものでない」(大手証券の幹部)という。20年の国内IPO社数は93社と07年(121社)以来、13年ぶりの多さとなった。大手証券だけでなく中堅証券が主幹事証券を務める案件も増えているが、チェック機能を強化する負担は大手より中堅の方が重い。

IPOの裾野が広がる一方、その「質」をどのように担保していくかが問われている。

そもそも、みずほ証券のIPO審査体制に責任があったのではありません。

みずほインベスターズ証券というIPOの審査体制が脆弱な証券会社を、みずほフィナンシャルグループのグループ戦略によって、みずほ証券が吸収合併したことによって、みずほ証券にお鉢が回ってきたということになっています。

みずほ証券にとっては、合併時に覚悟していた係争であったとしても、法務部門の責任者や担当者にとっては嫌な仕事です(ご苦労様です。これからも頑張ってください)。

ブログの中の人は、この最高裁判所の判断は妥当だと考えています。

エフオーアイの財務諸表を見れば、商業高校2年生レベルの人でも、ヤバい会社だとすぐにわかります。

この判決を受けて、原告と被告の間で和解が成立しました。

記事は、↓にあります。

主幹事証券会社と株主間で和解成立(エフオーアイ事件)

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