2021年8月3日に「みずほ証券、和解成立 粉飾企業の上場巡る訴訟」という新聞記事が出ました。
上場準備において、役に立つかどうかわかりませんが、この新聞記事に関する内容をブログ記事に書きました。
他のWebサイトや新聞などには存在しないような内容も書かせていただきました。
エフオーアイ事件とは
色々な手口で粉飾に手を染めてしまった上場会社がこれまでにもありましたが、株式会社エフオーアイという半導体製造機器メーカーが行った粉飾決算は、ぶっ飛んでいまして、なんと売上高の約97%が虚偽という極めて豪快なレベルの粉飾決算でした。
↓に関連記事を書いておりますので、ご参考下さい。
今後も粉飾する上場会社やIPO企業が出てくる可能性はあると思われますが、エフオーアイのような強烈なインパクトのある凄い内容の粉飾決算は、今後出てこないのではないでしょうか?
主幹事証券会社と株主間で和解成立
このたびエフオーアイの株主の一部が主幹事証券会社に対し、損害賠償を求めていましたが、その和解が成立しました。
これに関係する記事が、SankeiBizさんから出ていましたので、↓に紹介させていただきます。
半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」(破産)の粉飾決算で損失を受けた株主らが、株の売り出しで主幹事だったみずほ証券に損害賠償を求めた訴訟は3日、東京高裁(平田豊裁判長)で和解が成立した。
エフオーアイ事件の裏側
みずほ証券の公開引受部門は、エフオーアイを上場不適格企業として判断
実は、みずほ証券(旧新光証券?)の公開引受部門は、エフオーアイを上場不適格企業として判断し、主幹事証券としての契約を断っていました。
なお、エフオーアイは、みずほ証券だけではなく、N證券等の大手証券会社から、主幹事契約を切られ続けられていたようです。
エフオーアイは、みずほ証券から契約を切られた後、その旧みずほインベスターズ証券が主幹事証券会社として上場支援することに名乗りを上げて、2009年11月に株式上場させてしまいました。
みずほ証券は、2013年に旧みずほインベスターズ証券株式会社を吸収合併をしたため、エフオーアイの株主から訴えられる羽目になりました。
エフオーアイの社長は、粉飾決算を知らなかった可能性
普通の感覚ではありえませんが、簡単に言いますと、エフオーアイは、注文が無かったにも関わらず、見込生産した商品を顧客へ、半ば勝手に送り付けて、売上計上をするというビジネスモデル(?)で事業展開を行っていました。
エフオーアイの奥村裕社長(逮捕され、実刑判決を受ける)は、セミナーなどの講演会で悪気も無く堂々と、そのビジネスモデルについて語り、受講者に対し「自社商品をどんどん作って、顧客に送りつけると売上が上がるので、皆さんもやるべきではないか?」といったような事を語っていたそうです。
つまりエフオーアイの奥村裕社長は、自社のビジネスモデルに不正等は無いと信じていた公算が極めて高いらしいです。
まとめ
エフオーアイは、売上高の約97%が虚偽という大規模な粉飾決算を行いました。
ここまで大規模な粉飾をするためには、多方面での偽装工作が必要になります。
- 各種帳票の偽装してもバレないようにする
- ほとんどの注文書は、偽造していたと思われます。
- 在庫隠しや通関書類の偽造など、装置の納入に関しても偽装が必要になります。
- 外部者を巻き込んで、顧客として偽装するように依頼し、取引先へのヒアリングや実査があってもバレないようにする
- 顧客側の残高証明書の偽装工作が必要になると思われます。
- 主幹事証券会社や東証、監査法人等は、エフオーアイの顧客に直接出向き、エフオーアイ商品に対する評価や将来の取引などに関するヒアリングを行うはずです。そのヒアリングに対応するために、エフオーアイは堂々とウソを言ってくれる協力者を探し出す必要があります。しかしその協力者は、誰でも良いというものではありません。エフオーアイは、半導体製造装置メーカーであるため、半導体製造に関して一定レベルの知識レベルを持つ協力者を探し出し、その協力者は「うちの会社は、エフオーアイの商品を使っている!」「エフオーアイの商品は素晴らしい!」等のウソを言わせて、審査担当者等から信用されるようにしなければいけません(心が痛みますね)。
- 売掛金回収の偽装をするための資金を還流して、バレないようにする
- 売掛金回収の偽装工作のために、わざわざ海外のATMから、売上金の一部を入金したらしいです(ATMから、振込をするためだけに海外出張)。
- ファンドからの一部出資金を簿外へ移して、売掛金回収資金に充てていたという工面も行っていたようです(もう、地獄が待っているとしか、言いようが無いですね)。
この粉飾事件は、社長と専務取締役の2人が実刑を受けました。
しかし実質的には、専務取締役が実質的に単独で行っていたという説があります。
もし、その説が正しいのであれば、この専務取締役の能力や執念は凄いと評価してよいのではないでしょうか?
ブログの中の人は、専務取締役の責任感が強すぎたために、起こってしまった悲劇だと考えています。
エフオーアイは、専務取締役の”活躍”が無ければ、もっと早い時期に倒産していた可能性が高いと考えています。
そもそも、エフオーアイの商品に競争力があり、真っ当な方法で業績が上がっていれば、専務取締役が売上の粉飾に手を染めるようなことはしませんよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
IPOAtoZは、上場準備に関する最新情報をTwitterで発信しています。
ぜひフォローをお願いします。