グレイステクノロジー株式会社は、売上の前倒計上と架空売上、株式会社Edulabは売上の前倒計上と連結範囲の調整等で粉飾を行いました。

両社の不正会計は、上場前から行われていました。

両社は、それぞれ重い処分を受けました。

グレイステクノロジー株式会社は上場廃止、株式会社Edulabは東証1部からマザーズへ降格というものです。

両社が粉飾を行った手口は異なりますが、粉飾を行うことになった原因や背景は多くの箇所が共通していました。

そこで、不正会計に繋がった両社の原因や背景の共通点をまとめてみました。

なお、両社を比較すると、悪質度の大きかったグレイステクノロジーの粉飾について、↓で簡単にまとめています。ご参考下さい。

グレイステクノロジー粉飾事件によるIPO準備への影響

なお、下の説明で報告書という用語がありますが、グレイステクノロジーにつきましては、こちらであり、Edulabにつきましてはこちらの報告書のことを指します。

達成意識や義務感が強すぎる予算

これは、両社だけではなく、粉飾した会社の会社がこの傾向があると思われます。

両社は、予算達成のための意識や義務感が強すぎたことから、不正に手を染めてしまいました。そして、やがて罪悪感が無くなり、当たり前になってしまい、不正会計の規模が増してしまったという事です。

  • グレイステクノロジー:不正会計の元凶である元会長が予算に足りない営業部門へ行っていたパワハラは、強烈。
  • Edulab:予算達成のプレッシャーが不正会計を起こした一因になっている事が言及。

上場を目指す会社経営者は、次のことを意識する必要があると考えます。

  • 予算達成は重要であるが、過度なプレッシャーを与えてしまうと、不正に手を染めるリスクがある。
  • 予算は、保守的な予算づくりを重要視し、過度なプレッシャーを与えないようする。

軽視された取締役会

どちらの会社も取締役会が軽視されている事が共通されていました。

  • グレイステクノロジー:取締役会は、経営会議の延長で行われ、短時間でパッパッと終了。
  • Edulab:取締役会に上程すべき内容に対して、上程していなかった。さらに取締役会での審議を軽視し、又は嫌気する姿勢があった。さらに取締役会の資料提供の遅さや内容が不十分。

上場を目指す会社経営者は、次のことを意識する必要があると考えます。

  • 取締役会が活発な議論を行う重要会議にする必要がある。
  • 主幹事証券会社から複数回、取締役会にモニタリングされる可能性が高い。

監督機能に問題がある取締役会

上述した内容と同じような内容になりますが、取締役会の構成メンバーの資質に関しても、共通して言及されています。

  • グレイステクノロジー:不正会計の元凶である元会長へ社外役員を含む役員が迎合。
  • Edulab:取締役会のメンバー構成に問題(業務執行取締役 12 名、社外取締役 2 名という構成になっていたため、取締役会の審議に対する緊張感が欠如していた)。

上場を目指す会社経営者は、次のことを意識する必要があると考えます。

  • 取締役会は、モノ言う者で構成されていることを書面やヒアリングでしっかり表現。
  • 取締役会議事録には、監査役や社外役員の発言をしっかり記載。

形骸化された内部監査

グレイステクノロジーの内部監査部門は、粉飾に加担している一面があり、悪質なため、単純に並べる事は不適切かも知れませんが、両社の報告書は共通して、内部監査が十分に機能していなかったと言及しています。

  • グレイステクノロジー:監査に問題が出そうな部署をわざとスルー。
  • Edulab:人員不足。財務経理の内部監査が行われていない。各部門ごとのリスクに応じた監査計画の策定や見直しを行わず、多数の部門で、同一の監査項目が設定など

上場を目指す会社経営者は、次のことを意識する必要があると考えます。

  • 財務経理に関する内部監査は、必須。
  • 内部監査が取締役会へ報告することは、必須。

周知徹底されていない内部通報制度

内部通報制度は、コンプライアンス遵守の最後の砦です。両社の報告書には、これが周知されておらず、機能が働いていなかったと記載されています。

  • グレイステクノロジー:内部通報マニュアルには内部通報の連絡先情報が記載されていないうえ、周知された事実が確認できない。
  • Edulab:内部通報制度が十分に周知されていない。内部通報制度に対する信頼感が醸成されていない。

上場を目指す会社経営者は、次のことを意識する必要があると考えます。

  • 定期的に内部通報制度を周知する社内活動を行い、活動記録をとる。

まとめ

グレイステクノロジーとEdulabの両社が粉飾するに至った原因等の共通点を紹介させていただきました。

IPO審査においては、以上のような点につきまして、今後は今まで以上に厳格に審査されるものと予想されます。

上場を目指す会社は、以上の項目について、各機能が充実していることを意識して記録し、第三者へアピールできるようにしましょう。

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