BuySell Technologiesの審査ポイント
全国の消費者トラブルをとりまとめている独立行政法人国民生活センターのホームページには、「各種相談の件数や傾向」というページがあります。
その中に「訪問購入」というページが存在し、訪問購入に関する相談件数が掲載されています。
表 全国消費生活情報ネットワークシステムに寄せられた相談件数の推移
年度 | 2017 | 2018 | 2019 |
---|---|---|---|
相談件数 | 8,431 | 6,653 | 5,249 |
出所:独立行政法人国民生活センターのホームページより
昔からトラブルが多いといわれている業種業態は、いくつもありますが「訪問営業」というのは、トラブルが多い業種業態のトップランクに位置づけされます。
中でも「シニア世代相手に訪問営業をしている会社」というのは、検挙されている事例が多くあり、そのような会社がIPOを達成するのは、コンプライアンス面の確認でハードルが高くなります。
2019年12月18日に東証マザーズへ上場した株式会社BuySell Technologies(以下「BuySell」といいます)は、着物や切手、古銭、貴金属、ジュエリー、ブランド品、時計、骨董品等を出張訪問買取をしている会社です。また顧客の75%以上が50代以上のシニア層が占めている会社です。
つまりBuySellは、トラブルが多い業種業態のど真ん中を歩んでいる会社と言って過言ではありません。
BuySell Technologiesの目論見書
おそらくBuySellは、トラブルが多い業種業態でビジネス展開をしていることを認識していると思われます。
BuySellは適法な営業を行っていると、目論見書において、次のようにアピールしています。
- コールセンター
- コールセンター機能を自社内製で構築しており、当社にて直接お客様からのお問い合わせに対してご要望を承り、当該要望等を査定員と連携する体制とすることにより、よりお客様ニーズに沿ったサービス提供を図っております。また、当社コールセンターでは、売却希望の商材や訪問日時の調整といった事務的な受付業務のみでなく、事前にお客様に対して当社サービスの概要や査定取り扱いが可能な商材の説明や不招請勧誘防止のためのご案内等を実施しており、査定員が訪問査定時にご説明する内容を事前説明することにより、お客様がより安心して利用できるサービスの運営を行っております。
- コンプライアンス
- 強固なコンプライアンスの観点から、査定員のみでの契約決裁権限を持たせておらず、契約時にコンプライアンス専門部署がお客様にお電話の上で、売買契約の内容についての確認(商品、金額、及び金額にご納得いただいているかの確認)とクーリング・オフの案内、査定の対応についての確認を行う決裁コールを行ったうえで最終契約を締結するフローを構築しております。加えて、査定員退出後に再度お客様に架電し、査定員の対応について具体的なヒアリングを行うフォローコール制度も導入しております。フォローコールで架電した結果については、個人別でご意見、クレーム、賛辞内容を管理し、更なる品質向上に向けて適宜査定員に周知徹底を図っております。
- 真贋鑑定・査定
- 当社の査定体制は、正確な査定、贋物買取防止および査定員不正を防止する観点から、出張訪問する査定員の現場査定に加えて、当該査定員からモバイル端末を利用して送られて来る画像や動画等の情報をもとに、真贋及び鑑定を専門とする社員により二重で査定内容をチェックする体制を構築しております。
目論見書によると、BuySellの営業フローは、以下のようになっているようです。
- 顧客がWebや電話で申し込み
- コールセンターが事前説明
- 査定員が顧客宅へ訪問し、査定金額等提案
- コンプライアンス専門部署による売買契約の内容について確認
- 売買契約締結
- 査定員が顧客宅を退出後、コンプライアンス専門部署により、売買契約に関するヒアリング
- 真贋及び鑑定を専門とする社員による査定内容チェック
BuySellの場合は、さらにこの営業フローがキチンと行われているかを内部監査で随時監査をしているかどうかが上場審査等で問われたはずです。
BuySellでは、顧客とのトラブル防止に向けた策を設け、目論見書で表現しています。
営業上のトラブルが多い業種の場合は、BuySellを参考にして、営業マンに契約決裁権限を持たさないという取り組みは参考になると思われます。
国民生活センターのホームページの活用
国民生活センターのホームページには、消費者からの相談事例、相談が多い業種がわかります。
引受審査や上場審査の担当者は、担当になった会社の業種業態の問題について調べることは、当然の行動でありまして、国民生活センターのホームページを見ていると思っておいた方がよいと考えます。
反対に言えば、それはIPOの審査で問われる可能性があるということになります。
- スマートフォン販売
- オンラインゲーム
- 出会い系サイト
- アダルト系サイト
- インターネット通販
- オークション
- 生命保険
- 投資信託
- 商品先物・外国為替証拠金取引
- 暗号資産(仮想通貨)
- 賃貸住宅
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- ペット
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