感染症のリスク情報
コロナウィルスは、人とモノの流れを寸断し、全世界的に経済へ悪影響を及ぼしています。
コロナウィルスの出現は、目論見書のリスク情報の記載内容に変化が出ることでしょう。
リスク情報については、こちらで説明しております。ご参考ください。
コロナショックが問題になるまでの目論見書のリスク情報における感染症の記述は、以下のようになっています。
表 目論見書のリスク情報に「感染症」を記述した割合
年 | 感染症を記述した会社数 | IPO達成企業数 | 感染症を記述した割合 |
---|---|---|---|
2019 | 9 | 86 | 12.8% |
2018 | 15 | 90 | 16.7% |
2017 | 13 | 90 | 15.6% |
2016 | 9 | 83 | 10.8% |
コロナショックが現れる前にリスク情報へ感染症について記述があったのは、主にインバウンドや福祉関係、イベントなど、特定業種が中心となっています。しかし実際にコロナショックが巻き起こると、業種に関係なく、従業員の通勤や営業活動、仕入、外注等、多方面に悪影響を及ぼすことが現実的となりました。
ワシントンホテルの目論見書
2019年10月18日に東証2部へ上場したワシントンホテル株式会社は、コロナショックの影響をモロに受けました(頑張ってください!)。
ワシントンホテルが上場した時期は、コロナ禍が始まる前でしたが、目論見書のリスク情報の中で、感染症リスクについてキチンと記載しています。
新型インフルエンザに代表される感染症・感染病の流行等によって、拡散脅威による渡航規制の発生(国外客の減少)や、国内宿泊需要が減退する可能性があります。
コロナに関する記載事例
目論見書ではありませんが、上場企業の有価証券報告書や事業報告におけるコロナウィルスに関する記載事例を紹介します。目論見書や事業報告作成時に参考にしていただければ幸いです。
【事業等のリスク】事例
自然災害等のリスクの中でコロナウィルスについて記載している事例
18.自然災害等に関連するリスク
当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。当社は設備や情報システムに対してのバックアップ体制を整えておりますが、先に述べたような災害、有害物質の流出、情報システムの停止の影響を防いだり、軽減したりできる保証はありません。また、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で生産するというバックアップ体制も一部整えておりますが、全ての機種と数量を保証できるものでもありません。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、さらには当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行は、特にアジア地域でのサプライチェーンや生産活動に混乱をきたしており、当社は一部の工場で一時的に操業を停止したり、減産するなどの対応をとりました。また、販売においても、新型コロナウイルスによる世界経済や市場への悪影響を受ける可能性がありますが、今後の感染拡大の規模や収束の時期についての見通しはたっておらず、現時点で業績に与える影響を予測することは困難であります。
(出所:キヤノン株式会社第119期有価証券報告書より)
海外事業リスクの中でコロナウィルスについて記載している事例
(7)海外展開に関するリスク
当社グループは、中国及びベトナムに製造並びに販売の事業拠点を置き、製品を生産・供給しておりますが、これらの国において、政治体制の変動、法規制の変更などがあった場合には、経営成績や財政状態に重大な影響をおよぼす可能性があります。なお、中国を発生源とする新型コロナウイルスによる生産・販売への影響は、現時点では限定的ですが、今後において感染が拡大した場合は、経営成績や財政状態に重大な影響をおよぼす可能性があります。
(出所: クリエートメディック株式会社第46期有価証券報告書より)
⑦その他
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生が報告されて以来、世界各地で感染者数増加の報告が続いております。また、世界保健機構(WHO)の緊急委員会は、2020年1月30日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると発表しており、3月11日に新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)になったとの見解を表明しました。当社グループにおいては中国事業における工場の一時的な操業停止やレストラン事業における出店施設の休館に伴う一部の店舗の休業等が発生しており、今後の経過によっては、当社グループの事業活動及び収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
(出所: 株式会社不二家第125期有価証券報告書より)
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】事例
経営環境の一例としてコロナウィルスについて記載している事例
(3)経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復が続くことが期待されたところですが、現在新型コロナウイルスの感染が全世界的に拡大していることから、先行き不透明感が極めて強い状況となっております。
当不動産業界におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念され、賃貸オフィス市場、分譲住宅市場をはじめ当社の事業領域全般において、需要の減少やサプライチェーンの停滞等による影響を一層注視していく必要があります。(後略)
(出所:東京建物株式会社第202期有価証券報告書より)
① 経営成績等の分析
(前略)今後の動向については、2020年より欧州セグメントに属するハンガリー工場において、欧州系車載部品メーカーとのビジネスが本格的に開始されます。中国については、武漢発の新型ウイルス感染の影響が懸念されておりますが、依然として中国市場のポテンシャルは非常に大きく、EV関連部品ビジネスの立ち上げや大口の商談が進んでおります。その他の地域においても、中期的に非日系顧客との大型事業が開始される予定であります。(後略)
(出所:シークス株式会社28期有価証券報告書より)
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】事例
コロナウィルスの出現は、事業拡大のチャンスとして捉えている事例
Ⅲ.アプライアンス事業
アプライアンス事業においては、前連結会計年末に実施した電子黒板事業の売却(2018年度の売上高:1,559百万円)により売上高は著しく減少したものの、従来のテレビ会議に代替する「V-CUBE BOX」の大型案件による増加の他、防音型スマートワークブースの「テレキューブ」事業が大きく成長拡大いたしました。
特にテレキューブは、企業においてはセキュアなコミュニケーションスペースの確保や会議室不足といった課題解決に貢献し、また、主要駅やオフィスビルを中心とした公共空間においては、ビジネスマンに対してリモートワーク時の場所を提供するソリューションとして本格展開を進めて参りました。この結果、当連結会計年度における販売実績台数は345台、前年比472%と急速に拡大いたしました。国内における働き方改革の機運に加え、新型コロナウイルス感染の拡大によるテレワークへの注目は更なる高まることが予想される中、当社はテレワーク文化の拡大及び定着に対してテレキューブが重要な役割を果たすと考えており、今後も企業および公共空間での拡大を目指して参ります。
(出所:株式会社ブイキューブ 第20期有価証券報告書より)
IPO AtoZでは、リスク情報の内容に関するデータを無償で提供しています。
IPO AtoZでは、IPOを目指す会社関係者の方々へIPOを達成した会社の目論見書にあるリスク情報の内容に関するデータを無償で提供しています。
お気軽にinfo@ipo-atoz.comまで