IPO準備を行う間、社内外問わず、会社のトップシークレット資料がバンバン飛び回ることになります。

万が一、資料が紛失し、情報漏洩が起きてしまうと、会社や社員、取引先に直接的な損害が発生するだけではなく、株主構成によればインサイダー取引規制に結び付く事態にも直結します。

証券会社等外部の協力者へ各種資料を手渡すケースが多々ありますが、「大手企業の会社員だから安心」という甘い考えは御法度です。

例えば、ブログの中の人が以前勤めていた証券会社では、メールの誤送信、顧客資料やノートパソコン紛失などの事故が何度もありましたし、さらにここでは書けないレベルの大きな情報漏洩事故もありました。

Ⅰの部チェック

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の失態

2020年7月15日に東証マザーズへ上場したKIYOラーニング株式会社の有価証券届出書には、次のような記載があります。

本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る引受審査のための資料等の紛失について

本募集及び引受人の買取引受による売出し(以下「本募集等」という。)に関し、当社が引受証券会社に対して交付した引受審査のための資料及び本届出書の草案の写し各1部(以下「本件資料」という。)を、2020年5月に、引受証券会社のうちの1社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の従業員が紛失する事案が発生いたしました。なお、本件資料は、本書提出日現在において回収されておりません。

当社は、金融商品取引法に従い、投資者の当社株式に対する投資判断に重要な影響を及ぼす情報は本書及び新株式発行並びに株式売出届出目論見書(以下「法定開示書類」という。)に記載しておりますが、本件資料には当社の社内管理情報など一般に公表される情報以外の情報が一部含まれております。当社株式に対する投資判断に際しては、法定開示書類をご覧いただいた上で、投資者ご自身の判断で行うようお願いいたします。また、本件資料の内容等が第三者によりSNS等で拡散される等した場合、当社株式が上場した後の当社株式の取引や市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

出所:KIYOラーニング株式会社有価証券届出書より抜粋

KIYOラーニング株式会社のIPO準備実務担当者は、とてもドタバタしたと推察できます。

ポイント

IPO準備時の文書管理

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の従業員が資料を紛失した件が救えるところは、キチンと当該従業員が顧客であるKIYOラーニングに報告したことです。

IPOを目指す会社気を付けるべきことは、主幹事証券会社等の社外関係者・担当者へ手渡した資料が紛失しても、気づかないケースです。

そこで次のような取り組みの実行をおススメします。

IPO準備における文書管理
  1. 社外関係者へ手渡す資料の表紙に通しナンバーを入れましょう。
  2. 「何を、いつ、誰に、何冊手渡したか」という台帳を作って管理しましょう。
  3. 資料を手渡しする際、その社外関係者に台帳へサインを貰うようにしましょう。
  4. 適宜、資料を返却してもらうようにしましょう。