銀行と証券の業務間に情報の隔壁をつくることです。
通常、ファイアウォールというのは、ネットワークセキュリティの用語で使われますが、金融業界におけるファイアウォールは全く意味が異なります。
ファイアウォール規制をわかりやすく
ファイアウォール規制を難しく言いますと、金融業界における利益相反の防止、不正な取引を規制するため、銀行業務と証券業務との間に情報の隔壁をつくることであり、金融商品取引法で定められています。
ちょっと具体的に言いますと、例えばSMBC日興証券は、三井住友フィナンシャルグループ内の企業であり、三井住友銀行と同じグループ企業にあります。ファイアウォール規制とは、SMBC日興証券の証券マンと三井住友銀行の銀行マンの間で行われる会話やメール、電話、共同での提案営業活動等に制限をかけるという規制になります。
これは、SMBC日興証券だけのことではなく、野村證券も大和証券もみずほ証券も三菱UFJ証券もグループ企業に銀行がありまして、同様な対応を行っています。
なぜこのような規制が出来たのかといいますと、例えば、同一グループの悪徳証券マンと悪徳銀行マンが裏で結託し「おばあちゃん。この株、絶対上がるわ。買いなはれ。金が無かったら、うちの銀行が金を全額貸したるわ」というようなことを防止するためです。株を買えば証券会社が儲かりますし、投資資金を銀行から借りれば銀行が儲かります。証券会社と銀行の社員がグルになって、おばあちゃんにリスクを負わせるというのは、絶対にいけません。
ファイアウォール規制への協力と注意
「証券会社の営業マンが同じグループの銀行マンを紹介したいのですが・・・」または「銀行の営業マンが同じグループの証券マンを紹介したいのですが・・・」という依頼を受けることがあります。その際、口頭で「いいよ」と許可を出すだけではなく、書面(情報共有のための同意書)で許可の要請をうけます。
その書面を提出すれば、銀行と証券が連携したサービスや提案等を受ける期待がアップしますが、その反対に銀行と証券が一緒になって”IPOの梯子を外す”ことや、情報共有してほしくないことを勝手に情報共有するということもありえます。
したがいまして銀行会社と証券会社が情報共有できる範囲を絞りこむような形で同意書を提出することをおススメします。
チャイニーズウォール規制
ファイヤーウォール規制とよく似た用語で「チャイニーズウォール規制」という用語があります。
ファイヤーウォール規制は、証券会社と銀行間の情報障壁
チャイニーズウォール規制は、金融機関の各会社における部門間の情報障壁
のことをいいます。
こちらでまとめていますので、ご参考ください。