セグメント情報とは
上場企業は、有価証券報告書等において、どのような事業活動を展開しているのかをセグメントとして分類し、各セグメントの事業内容や収益獲得状況、さらには資産内容等を報告する義務が生じます。
セグメントについては、企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第20号「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」で定められています。
企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第20号「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」
「事業セグメント」とは、次のようなことをいいます。
- 収益を稼得し、費用が発生する事業活動に関わるもの
- 企業の最高経営意思決定機関※が、当該構成単位に配分すべき資源に関する意思決定を行い、また、その業績を評価するために、その経営成績を定期的に検討するもの
- 分離された財務情報を入手できるもの
※ 「最高経営意思決定機関」とは、、取締役会、執行役員会議といった会議体である場合や、最高経営責任者(CEO)又は最高執行責任者(COO)といった個人である場
合などが考えられます。
赤字の箇所が最も重要な箇所です。
経営者が会社のマネジメントをする際、どのような事業単位で収益性を判断して意思決定を行っているのかという区分がセグメントになります。
つまりセグメントは、管理会計と密接な関係があることになります。
会社が管理会計のフォーマットを作成する際、セグメント情報に関する会計基準を意識する必要があるということになります。
なおソニー株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社日立製作所のセグメントは、次のようになっています。(2019年度)
会社 | セグメント |
---|---|
ソニー株式会社 | 「ゲーム&ネットワークサービス」「音楽」「映画」「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション」「イメージング&センシング・ソリューション」「金融」「その他」 |
トヨタ自動車株式会社 | 「自動車」「金融」「その他」 |
株式会社日立製作所 | 「IT」「エネルギー」「インダストリー」「モビリティ」「ライフ」「日立ハイテク」「日立建機」「日立金属」「日立化成」「その他」 |
セグメント情報の開示
セグメント情報には、量的基準というものがあり、次の量的基準のいずれかを満たす事業セグメントを開示しなければならないという規則があります。
- 売上高(事業セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)がすべての事業セグメントの売上高の合計額の 10%以上であること
- 次の①または②の絶対値の大きい額が 10%以上であること
- ①利益の生じているすべての事業セグメントの利益の合計額
- ②損失の生じているすべての事業セグメントの損失の合計額
- 資産が、すべての事業セグメントの資産の合計額の 10%以上であること
その他にも量的基準が存在しますが、実質的には、上の3点がほぼすべてになります。
セグメント情報等とは
連結財務諸表を作成していない会社の場合は、個別財務諸表の注記情報として、セグメント情報等の開示を行う必要があります。
- セグメント情報
- 関連情報
- 製品及びサービスに関する情報(製品・サービス区分別の売上高)
- 地域に関する情報(国内・海外別の売上高及び有形固定資産)
- 主要な顧客に関する情報(主要な顧客の名称及び売上高等)
- セグメント別の「減損損失」
- セグメント別の「のれん」