ストックオプションを導入するにあたって、スケジュールを作成する必要がありますが、可能な限り、難しい言葉抜きにわかりやすく解説します。

ストックオプションを導入する際、スケジュール案を最初に完成させることが一般的です。

ここでは、IPOを目指す取締役会設置会社がストックオプションを導入する場合のスケジュールについて説明させていただきます。

ストックオプション導入の前半スケジュール

ストックオプション導入にあたって、前半と後半で分けて説明させていただきます。

前半は、ストックオプションの導入検討を開始してから、会社としての決議が終了するまでです。

表1 前半想定スケジュール

想定スケジュール 行為・活動・決議 実務や注意点など
数カ月前 検討開始
6月12日 取締役会決議(株主総会議案の確定、株主総会の招集等) 通常、この日までに全ての書面を完成させています。
6月13日 株主総会招集通知発送 会社法299条および定款に則った日までに発送する必要があります。
6月28日 株主総会決議 定時株主総会の場合は、事業年度の終了後3か月以内に開催する必要があります。
6月28日 取締役会決議 株主総会から1年以内に決議する必要があります。

スケジュールを策定するにあたって、ほとんどの会社は最初の取締役会(表1では、6月12日)をいつ行うかというところから決定しています。

これは実務として、この日までに全ての書面を完成させることが目標であることが主な理由です。

株主総会では、会社経営者が株主に対して、「(役員に割当てする場合)役員に報酬としてストックオプションを付与してよろしいでしょうか?」「こんなストックオプション(「募集事項」といいます)を発行したいと思っていますが、募集事項の決定を取締役会に委任してよろしいでしょうか?」の2つを決議します。

2回目の取締役会では、株主総会で委任の承認を受けた事項に関する決議を行います。どのような内容を決議するのかなどは、別のブログ記事で説明します。

ストックオプション導入の後半スケジュール

決議が全て終了した後のスケジュールを説明します。

非公開会社にとって可能性があるスケジュールは次のようになります。

表2 後半想定スケジュール

想定スケジュール 行為・活動 実務や注意点など
6月28日 募集事項通知書交付 会社法上は書面での交付を求められていません。
6月28日 割当申込書交付 割当契約書と兼ねることで省略可能と解釈されています。※
6月28日~7月5日 割当申込書受領 会社法上では書面だけではなく、電磁的方法で受領することが可能ですが、書面での受領が一般的です。また、いきなり「ここにサインしろ」と言うと怪しまれるため、説明会を実施することが通常です。
7月10日 割当通知書交付 会社法上では、割当日の前日までに通知する必要があります。割当契約書と兼ねることで省略可能と解釈されています。
7月10日 割当契約書交付 会社法上では、書面の作成を求められていませんが、実務上は書面で締結することが一般的であり、かつ税制適格ストックオプションの場合は、税制適格の要件を満たすために割当契約書の締結をおススメします。
7月11日~7月15日 割当契約書受領 割当通知書と兼ねて、割当通知書を省略する場合、割当契約の締結日は、割当日より前日に締結することになります。
7月16日 割当日 ストックオプションが付与される日であり、会計処理を行う日になります。
7月29日 登記 割当日から2週間以内に登記を行います。

※ 「割当契約書と兼ねることで省略可能と解釈されています」と記載していますが、登記を行う際、実務における法務局担当者の解釈がまちまちであるため、トラブルが発生する事例が多く存在することから、省略しないことをおススメします。

発行会社あるいは100%子会社の取締役・会計参与・監査役・執行役または使用人以外を相手方として含み、かつ50名を超える勧誘等を行う場合は、発行価額の総額規模によって、有価証券届出書もしくは有価証券通知書の作成提出が必要になります。

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