2019年12月26日に東証マザーズへ上場した株式会社スポーツフィールドは、IPOした後の約半年後の2020年5月12日に従業員持株会を設立するというプレスリリースを出しました。
従業員持株会とは何かというような説明は、こちらでさせていただいています。
その設立目的は以下のようになっています。
当社グループ従業員による当社株式購入に際して、インサイダー取引の懸念を回避しつつ、従業員自らが当社株式を取得・保有することで、株主の皆様と株主価値をより一層共有し、さらなる企業価値の向上を図ることを目的としております。また、安定的な当社株式購入需要を確保することで、出来高増加に寄与し、株式市場における流動性向上にも繋げたいと考えております。
従業員持株会は、IPO準備段階で設立する会社が多く、IPO後に設立するというのは少数派です。
ここでは従業員持株会をIPO準備段階で設立するか、IPO後に設立するかで比較してみます。
従業員持株会のメリット
IPO前に従業員持株会を設立する方が得られるメリット
何と言っても、従業員持株会の会員にとって、キャピタルゲインの大きさを期待できるという点です。
未上場段階で株式を購入できるチャンスや、親引けへの参加するチャンスを獲得できるため、従業員持株会会員にとっては大きな魅力があります。
魅力が大きければ大きいほど、仕事に対するモチベーションアップを期待できるようになります。
リクルートホールディングスがIPOをしたとき、億単位で利益を獲得できた従業員持株会会員が続出したのは、有名です。
IPO後に従業員持株会を設立する方が得られるメリット
IPO前に従業員持株会を設立した場合のデメリットが無いということが最も大きいことになります。
それは次に説明させていただきます。
従業員持株会のデメリット
IPO前に従業員持株会を設立することによるデメリット
主に次の2つのデメリットがあります。
- 万が一、IPOを断念することになれば、従業員持株会の解散を含めた議論が開始することになります。特に従業員持株会が会社株式を保有している場合、解散は大変です。従業員持株会が保有する株式を誰かが購入しなければならなくなります。
- 大口の会員が連続して退会するようなことになると、従業員持株会の資金が枯渇することになります。IPO後よりも、IPO前の方が従業員持株会運営が難しいです。
IPO後に従業員持株会を設立することによるデメリット
主に次の2つのデメリットがあります。
- 親引けや非上場株式の取得といった大きなキャピタルゲインのチャンスを獲得できない。
- IPO前に従業員持株会を設立するのであれば、従業員は誰でも入会できますが、IPO後に設立しようとすると、インサイダー情報を持つ者は、従業員持株会への入会手続きが出来なくなります。