2019年に東証へIPOを達成した会社(Tokyo Pro Market除く 82社)がIの部に記載した関連当事者取引をランキング形式で紹介します。

関連当事者取引として、具体的にどのような取引が存在し、どのような取引が多く存在するのか、また関連当事者取引を行っている会社は、それぞれの取引でどのような対応を行う必要があるのかを紹介しています。

なお、2019年に東証へIPOをした会社82社の内、55社(67%)が直前々期に関連当事者取引が発生していました。

2019年IPO関連当事者取引事例ランキング

2019年にIPOを達成した会社(82社)の内、直前々期に行っていた関連当事者取引の内訳を分類すると、次のようになりました。

順位(社数) 関連当事者取引の内容 会社が行うべき対応の提案例
1位(31社) 会社が金融機関から借入や為替予約をする際、役員等が個人保証をする行為(識学、サーバーワークス等) 金融機関に対して、個人保証を解除する交渉を開始しましょう。
2位(23社) 本社や店舗等の不動産の賃貸時、また設備等のリース契約をする際、役員等が個人保証をする行為(スマレジ、カオナビ等) 貸主に対して、個人保証を解除する交渉を開始しましょう。
3位(8社) 会社が関連当事者へ業務やサービス等を委託して、料金を支払う行為(サイバー・バズ、ブシロード等) 価格等の取引条件は、市場の実勢価格等と同じでなければいけません。それを証明できるような証拠を準備しましょう。
4位(7社) 会社が関連当事者に対し金銭の貸付をする、もしくは貸付金を回収する行為(ブランディングテクノロジー、新日本製薬等) 貸付をするに至った理由や議事録等を整理しましょう。
5位(6社) 会社が関連当事者から出資を受ける行為、または株式売却や交付を行う行為(フィードフォース、マクアケ等) 株価の算定根拠を書面で説明できるようにしましょう。
同5位(6社) 会社の役員が関連当事者の役員を兼任する行為、または自社の社員等の関連当事者へ出向させる行為(ヴィッツ、ステムリム等) 兼任者または出向者に対する期待効果を説明できるように書面で準備しましょう。
7位(5社) 会社が関連当事者へ貸付した貸付金に対する利息を受け取った行為(フロンティアインターナショナル、グッドスピード等) 市場金利を勘案した金利に設定することが原則であるため、貸付金利と市場金利が同等である説明ができるように準備しましょう。
同7位(5社) 会社が関連当事者から金銭を借入する行為。または借入金を返済する行為(ミンカブ・ジ・インフォノイド、JMDC等) 金融機関等からの借入ではなく、関連当事者から借入した理由を説明できる必要があるため、書面で準備しましょう。また金融機関から借入し、関連当事者からの借入を返済しましょう。
同7位(5社) 会社が関連当事者から借入した借入金に対する利息を支払う行為(AI CROSS、カクヤス等) 市場金利を勘案した金利に設定することが原則です。金融機関から借入し、関連当事者からの借入を返済しましょう。
同7位(5社) 会社が関連当事者に対してサービスや業務を提供し、料金を回収する行為(インティメート・マージャー、セルソース等) 関連を有しない会社との取引と同様の一般的な取引条件である必要があります。取引条件が差別化されていないことを説明できるようにしましょう。
11位(4社) 会社が取引先と契約を締結する際、役員等が会社のために個人保証をする行為(グッドスピード、フリー等) 取引先に対して、個人保証を解除する交渉を開始しましょう。個人保証を解消してくれない場合、取引を解消し、他社へ変更を第一に考えましょう。
同11位(4社) 関連当事者の債務に対し、会社が債務保証を行う行為(ツクルバ、ベース等) 債権者に対し、債務保証を解除する交渉をしましょう。
13位(3社) 会社が関連当事者から、店舗やオフィス等の不動産を賃貸している行為(WDBココ、セルソース等) 周辺の不動産賃貸料を勘案した賃貸料に設定していることが原則です。それを証明できるような証拠を準備しましょう。
同13位(3社) 会社と関連当事者との間で、不動産を売買した行為(コプロ・ホールディングス、ダブルエー等) 周辺の不動産価格を勘案した価格で売買していることが原則です。それを証明できるような証拠を準備しましょう。
15位(2社) 関連当事者の納税資金や経費の支払等を、会社が立替する行為(BASE、マクアケ) 立替をしなければいけなくなった理由を文書で整理しましょう。また立替を継続しなければいけない場合、その理由を説明できるように書面で準備しましょう。
同15位(2社) 会社の商品を関連当事者が販売する行為(ブシロード、エヌ・シー・エヌ) 取引条件等は、関連当事者以外の会社と同等の条件で行うことが原則であるため、説明できるように書面で準備しましょう。
同15位(2社) 関連当事者が販売する商品を仕入する行為(カクヤス、セルソース) 取引条件等は、関連当事者以外の会社と同等の条件で行うことが原則であるため、説明できるように書面で準備しましょう。
同15位(2位) 関連当事者との間で共同事業を行ったり、固定資産を共同利用したりすることにより、売上や経費等の回収や支払を行う行為(WDBココ、ブシロード) 売上や経費の分配比率の決定理由について、書面で説明できるように準備しましょう
19位(1社) 関連当事者が借入を行う際に提供する担保を、会社が提供する行為(カクヤス) 関連当事者自身で担保を準備できるように交渉しましょう
同19位(1社) 関連当事者を顧問として契約し、顧問報酬を支払う行為(東海ソフト) 顧問契約を締結する期待効果について、書面で説明できるように準備しましょう
同19位(1社) 関連当事者から経営指導を受け、経営指導料を支払う行為(サイバー・バズ) どんな経営指導を受けているか、経営指導料はどのような根拠で決まっているかを書面で説明できるようにしましょう
同19位(1社) 会社の事業の一部を関連当事者に譲渡する行為(BuySell Technologies) なぜ、その事業を事業譲渡することにしたのか、なぜ事業譲渡先を当該関連当事者に選択したのか、また事業譲渡金額の決定根拠を書面で説明できるようにしましょう
同19位(1社) 関連当事者が新株予約権を行使する行為(global bridge HOLDINGS) なぜIPO前に新株予約権の行使を行ったのかを書面で説明できるようにしましょう

※ 2019年に東証へIPOを達成した会社のⅠの部を元にして、IPOAtoZが集計したものです

「IPOデータベース」を分析すれば、わかること

IPOAtoZは、IPOを目指す会社の関係者の方々に「IPOデータベース」を無償で提供しています。「IPOデータベース」とは、IPOを達成した会社の有価証券届出書や定款、プレスリリース等に記載された情報を網羅的にエクセルにまとめているものです。「IPOデータベース」には、どの会社がどんな関連当事者取引を行ったのかをデータベースとしてまとめています。

東証の「上場審査等に関するガイドライン」2.3(1)には、関連当事者取引に関して、次のようなことが記載されています。

「上場審査等に関するガイドライン」2.3(1)
  • 新規上場申請者の企業グループとその関連当事者その他の特定の者との間に取引が発生している場合において、当該取引が取引を継続する合理性及び取引価格を含めた取引条件の妥当性を有すること。
  • 新規上場申請者の企業グループの関連当事者その他の特定の者が自己の利益を優先することにより、新規上場申請者の企業グループの利益が不当に損なわれる状況にないこと。

そこでIPOデータベースを活用すれば、次のようなことがわかるようになります。

ガイドラインの記載内容 IPOデータベースを分析すればわかること
当該取引が取引を継続する合理性及び取引価格を含めた取引条件の妥当性を有すること。 どのような取引が合理性のある取引であると認められた事例があるのか?
新規上場申請者の企業グループの利益が不当に損なわれる状況にないこと。 利益が不当に損なわれる状況にない取引として認められた事例とは?

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