IPOを達成するための形式要件には、また上場を維持する要件の中に「監査意見」という用語があります。

ここでは監査意見について説明しています。

監査意見とは

会社が作成した財務諸表を、監査法人が公正妥当な企業会計に準拠して適正に表示しているかどうかを監査し、その結果を監査法人が「監査意見」という形で表明するものです。

日本公認会計士協会監査基準委員会の「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」に内容が定められています。

監査意見とは
  1. 監査報告書の冒頭に、「監査意見」という見出しを付した区分を設け、監査意見を記載しなければならない。
  2. 監査報告書の「監査意見」区分には、以下の事項を記載しなければならない。
    (1) 監査対象である財務諸表を作成している企業の名称
    (2) 財務諸表の監査を行った旨
    (3) 財務諸表の名称
    (4) 財務諸表に関連する注記事項(重要な会計方針を含む。)
    (5) 財務諸表が対象とする日付又は期間
  3. 適正表示の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対して無限定適正意見を表明する場合、監査意見において、監査意見の根拠等を記載しなければならない。
  4. 準拠性の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対して無限定意見を表明する場合、監査意見には、「財務諸表が、すべての重要な点において、[適用される財務報告の枠組み]に準拠して作成されている」と記載しなければならない。
  5. 監査意見において、適用される財務報告の枠組みが国際会計基準審議会が公表する国際会計基準ではない場合には、監査意見において、財務報告の枠組みを設定している国を特定しなければならない。

出所:日本公認会計士協会監査基準委員会の「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」から抜粋および一部修正して記載

監査意見の種類

監査意見には、以下の4種類があります。

監査意見の種類
  1. 無限定適正意見
    財務諸表が、適用される財務報告の枠組みに準拠して、すべての重要な点において適正に表示していると監査人が認める場合に表明される意見。
  2. 限定付適正意見
    ほとんど一般的に公正妥当な企業会計基準にしたがって、会社の財務状況が表示されているものの、一部に不適切な事項が存在する。しかし、不適切な事項は、財務諸表等全体に対して重要性が小さいと評価された会社に監査人が与える意見。
  3. 不適正意見
    一般的に公正妥当な企業会計基準にしたがっていない不適切な事項が存在され、かつその事項が財務諸表等全体に重要な影響を与えると評価された会社に監査人が与える意見。
  4. 意見不表明
    重要な監査手続が実施できなかったため、財務諸表等に対する意見表明ができないと評価された会社に監査人が与える意見。

四半期決算に対する無限定適正意見に相当する意見のことを「無限定の結論」といいます。

IPOを目指す会社は、「1.無限定適正意見」を獲得できるようにしなければいけません。

IPOを目指す会社が必要になる監査意見

IPOを目指す会社は、直前々期から監査法人から監査意見を入手する必要があります。

監査意見については、形式要件で定められています。

形式要件についての説明は、こちらになります。

形式要件【IPO用語】

監査意見に関する形式要件は、以下のようになっています。

監査意見に関する形式要件(すべてに適合する必要があります。)
  • 直前々期:「無限定適正意見」または「限定付適正意見」の評価を受けること
  • 直前期:「無限定適正意見」の評価を受けること
  • 申請期:「無限定の結論」の評価を受けること

「監査調書」「監査報告」

よく似た用語に「監査調書」や「監査報告」があります。

こちらで説明しておりますので、ご参考ください。

監査調書

監査証明・監査報告・監査報告書