有価証券届出書は、上場承認日に開示しなければいけない資料です。

有価証券届出書とは

会社が有価証券の募集または売出しをする際に、内閣総理大臣(実質的には所轄の財務局)へ提出することが義務付けられている書類です。

「募集」と「売出し」については次のサイトで説明しています。

募集【IPO用語】

売出し【IPO用語】

「有価証券届出書」、「目論見書」と「Ⅰの部」の違い

IPOを目指す会社は、「有価証券届出書」と「目論見書」と「Ⅰの部」という内容がほぼ重複する資料を作成しなければいけません。

イメージ的な比較で恐縮ですが、それぞれの資料の違いを次の表で説明させていただきます。

表 有価証券届出書、目論見書とⅠの部の違い

有価証券届出書 目論見書 Ⅰの部
法律・規則 金融商品取引法 金融商品取引法 有価証券上場規程
提出先 内閣総理大臣(財務局) 投資家(幹事証券会社) 証券取引所
完成目標時期 上場承認日 目論見書校了日 上場申請日
主要作成協力者 財務局担当者 印刷会社担当者 主幹事証券公開引受担当者
カラー等のビジュアル化 特に必要なし 重視 特に必要なし
株式の発行や売出総数、発行価格等の記載項目 必要 なし 必要
提出会社の保証会社等の情報※ なし なし あり
特別情報※ あり なし あり

※ 項目としての違いは存在しますが、あまり重要ではありません

有価証券届出書とストックオプション

IPO準備のプロセスにおいて、一般的に有価証券届出書は、上場審査中までに作成すればよい資料になります。

しかし実はそれだけでは、ありません。

それは特にストックオプションです。勧誘を行う相手方の人数が50名以上、かつ発行価額の総額が1億円以上のストックオプションを発行する場合、原則有価証券届出書を作成し提出しなければいけません。

有価証券届出書の提出を忘れていた会社は、最悪のケースとして、有価証券届出書を提出すべき日から5年間IPOが出来なくなります。

しかし以下のようなストックオプションの場合は、有価証券届出書の提出義務が免除されます。

ストックオプション発行における開示義務の免除範囲
  • 発行会社の役員・使用人に付与するストックオプション
  • 発行会社の完全子会社の役員・使用人に付与するストックオプション
  • 発行会社の完全孫会社の役員・使用人に付与するストックオプション
  • 発行会社の間接完全孫会社の役員・使用人に付与するストックオプション

「ひ孫会社の役員・使用人に付与するストックオプション」「完全子会社以外の役職員に付与するストックオプション」「外部協力者などに付与するストックオプション」は、開示義務が免除されない事に注意が必要です。