Ⅰの部には、「事業等のリスク」という記載箇所が存在します。

「事業等のリスク」には、どんなことを書けばよいのかといいますと、金融庁が公表している「企業内容等開示ガイドライン」の中に存在します。

ここでは、2019年にIPOを達成した会社(TOKYO PRO MARKET除く82社)が「事業等のリスク」にどのようなことを記載したのかということを20位までの上位ランキング、さらに10位までについては具体的にどのように記載されていたのかという事例をご紹介されていただきます。

【事業等のリスク】1位~10位の概要と記載事例

順位 リスクの内容 社数
1位 事業に関連する法律や規制の改正や制定によるリスク 70社(85%)
2位 競合の参入や競争激化による価格競争や競争優位性の劣化によるリスク 68社(82%)
3位 人材の確保や育成、流出に関するリスク 62社(75%)
同3位 システム障害をはじめとする情報セキュリティに関するリスク 62社(75%)
5位 事業環境の変化、市場の低迷、顧客の嗜好の変化によるリスク 61社(74%)
6位 新株予約権の行使による株式価値の希薄化によるリスク 56社(68%)
同6位 自然災害や事故、感染病蔓延によるリスク 56社(68%)
8位 個人情報の情報漏洩や不正流出等、個人情報保護に関するリスク 54社(65%)
9位 会社経営や事業が特定人材へ依存していることに関するリスク 51社(62%)
10位 配当政策に関するリスク 46社(56%)

1位「事業に関連する法律や規制の改正や制定によるリスク」記載事例

当社は、顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。前記の他法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合や法令に違反した場合等において、当社が的確に対応できなかった場合には、当社の事業活動が制限されると共に、社会的な信用の失墜により当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

出所:東海ソフト株式会社Ⅰの部より

2位「競合の参入や競争激化による価格競争や競争優位性の劣化によるリスク」記載事例

当社グループが属する警備業界は、市場規模と比較して、警備事業者は約9,500社と多く、同業者間の価格競争が年々激しくなっております。当社グループは、これらの同業他社と競合しており、今後の価格競争の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのような事態に対処するため、契約先のニーズを的確に把握し、相手の立場に立った、より質の高いサービスを提供することで、価格競争に打ち勝つとともに、コスト管理の徹底に努めてまいります。

出所:共栄セキュリティーサービス株式会社Ⅰの部より

3位「人材の確保や育成、流出に関するリスク」記載事例

当社の提供するサービスは、当社の技術部門を中心とした従業員による継続した役務に依存しております。当社の事業拡大に伴い、優秀な経営陣及び従業員を内部育成し、技術・営業・企画及び管理面において適切な人材を適切な時期に確保又は維持できなかった場合、必要以上の人員数採用により労務費用を適切にコントロールすることができなかった場合、労働市場において想定よりも人件費が高騰した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

出所:株式会社サーバーワークスⅠの部より

同3位「システム障害をはじめとする情報セキュリティに関するリスク」記載事例

当社の事業は、インターネット接続環境の安定した稼働を前提として運営されております。継続的かつ安定的なサービス運営を行うため、システムの負荷分散、バックアップ体制や強固なセキュリティの構築等に常時努めておりますが、不測の自然災害や事故等のトラブルによる様々な問題が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

出所:トビラシステムズ株式会社より

5位「事業環境や市場、顧客の嗜好等の変化により、業績が低迷するリスク」記載事例

国内外の景気後退や国及び地方公共団体の公共投資予算の削減等により、建設市場が著しく縮小した場合や今後競合他社との競争が激化し、民間工事における受注価格が下落する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

出所:日本国土開発株式会社Ⅰの部より

6位「新株予約権の行使による株式価値の希薄化によるリスク」記載事例

当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。 これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在これらのストック・オプションによる潜在株式数は221,320株であり、発行済株式総数4,428,920株の5.0%に相当しております。

出所:ギークス株式会社Ⅰの部より

同6位「自然災害や事故、感染病蔓延によるリスク」記載事例

当社グループは、全国に営業拠点を有しており、地震、津波、台風などの自然災害が発生した場合に対して迅速かつ的確な対応をしてまいりますが、想定外の大規模災害が起きた場合、一定の事業運営が困難になる可能性があります。また人材ビジネスの事業性質上、多数の技術者及び顧客基盤を有していることから、派遣技術社員の安否確認や契約内容の調整など、多大な業務負荷を要することが想定されるため、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

出所:株式会社コプロ・ホールディングスⅠの部より

8位「個人情報の情報漏洩や不正流出等、個人情報保護に関するリスク」記載事例

当社のコンシューマー事業では、インターネット等の媒体を利用した個人顧客への直接販売を実施しており、購入者の個人情報を保有しております。また、再生医療関連事業において加工受託サービスを行う際、取引先の医療機関から患者の個人情報を入手する機会があります。当社では、入手した個人情報の管理を徹底していますが、何らかの理由で個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、当社の社会的信頼の失墜や賠償金の支払い等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

出所:セルソース株式会社Ⅰの部より

9位 「会社経営や事業が特定人材へ依存していることに関するリスク」記載事例

当社の創業者であり代表取締役である比木武は、経営責任者として経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業活動上の重要な役割を果たしております。また本書提出日現在において比木武は筆頭株主であり、持株比率は45.1%となっております。取締役会等において役員及び社員への情報共有や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、現時点において、同氏が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合には、当社の業務推進及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

出所:株式会社WelbyⅠの部より

10位 「配当政策に関するリスク」記載事例

当社は株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置づけ、内部留保を充実し、収益基盤の強化及び収益力拡大のための投資に充当し、株式価値を高めていくことが株主に対する最大の利益還元に繋がるものと考えております。こうした考えのもと、当面は内部留保の充実を図り、財務体質の強化や人員の育成、事業拡充等、収益基盤の強化拡大のための投資に活用する方針であります。

出所:株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドⅠの部より

【事業等のリスク】11位~20位の概要

順位 リスクの内容 社数
11位 資金使途に関するリスク 45社(54%)
12位 知的財産に関するリスク 43社(52%)
13位 紛争に巻き込まれたり、訴訟を受けるリスク 36社(43%)
同13位 内部管理体制に関するリスク 36社(43%)
15位 依存度が高い取引先が有することに関するリスク 35社(42%)
16位 景気悪化により、業績に悪影響を及ぼすリスク 34社(41%)
17位 風評被害や住民反対、クレーム等によるリスク 33社(40%)
18位 特定の事業や特定のブランド、依存度が高い顧客が存在することによるリスク 28社(34%)
同18位 技術革新が起こることにより、自社の事業や市場が変化して、業績に悪影響が出るリスク 28社(34%)
20位 業績が季節によって変動していることに関するリスク 25社(30%)

まとめ

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